平安貴族の万能フレーズ!「あはれ」と「をかし」それぞれの特徴と使い方の違い
古文と言えば、少なからぬ方が授業でもよく見聞きした「あはれ」を連想するのではないでしょうか。
これが実に便利なフレーズで、感動を伴いさえすれば、美しくても悲しくても何でも「あはれ」で通じてしまう優れもの。
「月が綺麗ですね」
⇒「いとあはれ(あなたはもっと綺麗ですね)」
「このたび表彰されまして」
⇒「いとあはれ(すごいですね。おめでとうございます)」
「身内に不幸がありまして」
⇒「いとあはれ(この度は、誠にご愁傷さまでございます)」
……などなど、文脈によって柔軟なニュアンスを含ませられ、とりあえずこう答えておけば
「あなたのお話しに、大変心を動かされております≒ちゃんと聴いております」
という意思表示が可能なのです(濫用注意)。
「ねぇ、ちゃんと話を聞いてるの!?」
⇒「いとあはれ(はいはい、聞いてますよ。一応)」
その一方で、「をかし」というフレーズもよく見聞きします。
清少納言(せい しょうなごん)の随筆『枕草子(まくらのそうし)』で有名なこのフレーズ、趣深いとか味わい深いと言ったニュアンスのほか、現代と同じく「可笑しい」「変、異様」といった意味でも使われているようです。
心が動かされるという点で「あはれ」と共通していますが、両者の大きな違いは何でしょうか。
そこで今回は、平安貴族の万能フレーズ「あはれ」と「をかし」の違いを紹介したいと思います。
ページ: 1 2