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結末が思い浮かばない(汗)推理小説の結末が思いつかず読者に謝った大文豪って誰?

結末が思い浮かばない(汗)推理小説の結末が思いつかず読者に謝った大文豪って誰?

元々長編小説の筋書きをまとめることがあまり得意ではなかった彼は、長編小説を「場当たり的」に執筆して話の展開に行き詰まることがあり、時にはそれが休筆に繋がってしまうことさえありました。

そして「程度の低いものを書いている」という意識に苛まれることもあったといいますから、作家として中途半端な仕事をすることがどうしても許せなかったのでしょう。

この時も、霊媒師が「犯人はこの中にいる」と言い、その秘密が次回いよいよ暴かれる…というところまでストーリーが進んだところで、
「『悪霊』失敗のひとつの理由は、種々の事情の為に、全体の筋立ての未熟のまま、執筆を始めた点にもあったと思いますが、抜け殻同然の文章を羅列するに堪えませんので、ここに作者としての無力を告白して、『悪霊』の執筆をひとまず中絶することに致しました」
という「お詫びの文」が載り、休載となりました。

そこまでして執筆依頼を引き受けた理由は?

『悪霊』は、1934(昭和9)年1月号までに3回中断しています。乱歩がそこまでしてこの作品の執筆依頼を受けた理由は、やはりデビュー作『二銭銅貨』を連載してくれた「新青年」からの依頼だったからでしょう。

しかしこれを機に彼は「作家としての自分の時代は過ぎた」と感じ始めたのか、1935(昭和10)年頃から評論家として広く活躍し始め、太平洋戦争後は新人発掘やプロデュースにも力を入れるようになっていったのでした。

 

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