乙丸、無事でいてくれ!「刀伊の入寇」の詳細など…『光る君へ』12月1日放送回を楽しく振り返る:2ページ目
刀伊の入寇、誰がどこで戦った?
大宰権帥である藤原隆家が騎馬甲冑姿で陣頭指揮をとった……というのは大河ドラマの創作です。
だって隆家が博多の警固所に行ってしまったら、大宰府の政務は誰が見るのでしょうか。非常事態とは言え、社会を維持するための営みは欠かせません。
しかしそんな野暮は言いっこなしにしましょう。
視聴者の皆さんが求めているのは「大宰府で自由になった隆家が、真の仲間たちと力を合わせて強敵に立ち向かう勇姿」なのですから。
という訳で、ここでは刀伊の入寇に際して誰がどこの配置で戦ったのか、概略をまとめました。
【博多警固所】
- 藤原助高(すけたか)前大宰大監
- 大蔵種材(おおくらの たねき)前大宰少監
- 藤原明範(あきのり)前大宰少監
- 平為賢(ためかた)散位
- 平為忠(ためただ。為賢の子か)散位
- 大蔵光弘(みつひろ。種材の子)傔仗
- 藤原友近(ともちか)傔仗
- 紀重方(きの しげかた)友近の随兵
【海上】
- 平致行(ともゆき/むねゆき)前大宰少弐
- 藤原致孝(むねたか)前大宰大監
【怡土郡】
- 多治久明(たじの ひさあきら)住人
【志摩郡】
- 文屋忠光(ふんやの ただみつ。文室忠光)住人
【船越津】
- 財部弘延(たからべの ひろのぶ)擬検非違使
- 大神守宮(おおがの/おおみわの もりみや)不詳。神官(実名でなく職名)か
【松浦郡】
- 源知(しるす/さとる)前肥前介
※ずっと固定ではなく、戦況の推移によって適宜移動したことは言うまでもありません。
<用語解説>
前(先の~):元職。
大宰大監(だざいのだいげん):大宰府の三等上官。
前大宰少監(~しょうげん):大宰府の三等下官。
散位(さんい):位階だけあって、官職がない状態。
傔仗(けんじょう):地方官に配属する護衛武官。
随兵(ずいひょう):随従する兵士。
大宰少弐(だざいのしょうに):大宰府の二等下官。
住人(じゅうにん):民間人ではなく、在地の土豪。
擬検非違使(ぎけびいし):検非違使になぞらえた地方の保安官。
肥前介(ひぜんのすけ):肥前国の国司次官。
こうして見ると前(さきの~)が多く、常備軍隊を回す余裕がなかったことが察せられます。
このいかにもな寄せ集め武士団を率いて、というか一緒になって隆家は刀伊の海賊たちを撃退したのでした。胸が熱くなりますね!