戦国時代、兵種別の部隊運用を可能とした「備(そなえ)」とは?その種類と意義について解説:2ページ目
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江戸時代にも引き継がれる「旗本」と備たち
この当時の戦いは、鉄砲・弓・長鑓を用いる足軽同士の衝突から始まったので、鉄砲・弓・長鑓を持つ足軽が先備となり、前線に並びます。
そして先備の後方に中備がおかれ、備の中心には総大将である大名が統率する旗本備がおかれました。
旗本備はいわば本陣であり、大名に直属する家臣が旗本として警固することになります。
なお、旗本は馬廻ともよばれ、家臣のなかでも精鋭が選ばれていました。大将が動じなければ軍に混乱は生じませんが、やたらと動き回っていては混乱します。反対に大将が泰然自若としていれば、兵士も安心するのでこの旗本備は決して後ろに退くことはありません。
この旗本備が崩れるのは、合戦に負けたときです。
そして旗本備の左右には脇備が、後方には後備や殿備がおかれました。備の最後方には兵糧や弾薬、陣地設営道具などを運ぶ小荷駄隊がひかえています。
兵糧や弾薬を運ぶ小荷駄隊は非戦闘員でしたが、味方が押されているときには戦闘への参加も余儀なくされました。
このようにそれぞれの備は独立しており、奉行となった重臣によって統率されていました。総大将は、使番とよぶ伝令によって侍大将に指示を与え、侍大将はその指示に従って備を指揮したのです。
江戸時代になると、実際に大名がこうした備えで実際に出陣することはなくなりました。ただし、参勤交代も軍勢の移動とみなされており、備の編成は、大名行列にも取り入れられています。
参考資料:
『歴史人2022年5月号増刊図解戦国家臣団大全』2022年5月号増刊、ABCアーク
画像:photoAC,Wikipedia
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