教科書から幕末のヒーロー・坂本龍馬の名前が消える!?その理由と真相について考える:2ページ目
「船中八策」は創作!?
2023年11月、歴史教育の専門家たちが、教科書で用いる用語についてさまざまなな案を示しました。その中で課題として挙げられたのが、坂本龍馬という人物の扱いです。
現在の教科書では、坂本龍馬は大政奉還を推し進めた人物として描かれています。大政奉還とは、言うまでもなく徳川幕府15代将軍・徳川慶喜が政権を朝廷に返還した手続きのことですが、これは当時の土佐藩の重臣だった後藤象二郎と、龍馬がともに藩主の山内家を通して勧めたものだったというものです。
その根拠とされているのが、龍馬が提唱したといわれている船中八策です。
船中八策は、江戸幕府が消滅した後の日本がどのような体制で臨むべきかを考えたもので、これは龍馬が土佐藩の船「夕顔」の中で提案したといわれています。この時に考えた、平和的に日本を改革するための八つの策が、大政奉還でも活かされたというのです。
しかしこの船中八策は、現在の日本史研究では後世の創作だという説が有力になっています。
また大政奉還後、龍馬は新政府綱領八策という文書を書いています。これは船中八策を簡略化したもので、「幅広い人材の登用」「有材の人材選用」「名ばかりの官役職廃止」「国際条約の議定」「憲法の制定」などの内容ですが、これも後世の明治新政府の政策に影響した形跡はありません。