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古来から恐れられる呪術「丑の刻参り」そもそもは良縁・心願成就が始まりだった【後編】

古来から恐れられる呪術「丑の刻参り」そもそもは良縁・心願成就が始まりだった【後編】

境内のおかげ明神の後ろにある「のろい杉・いのり杉」

地主神社の境内にある小さな祠のひとつに「おかげ明神」。どんな願いごとも一つだけなら「おかげ(ご利益)」がいただける一願成就の神様です。

その「おかげ明神」の後ろにあるご神木「祈り杉」があるのですが、「のろい杉」とも呼ばれています。というのも、そのご神木には五寸釘を打ち込んだ跡が無数に残っているから。

また「祈り杉」の隣には、神の人形に縁を切りたい悪縁などの願いごとと姓名を書いて水に沈めるという厄除け・開運を願える「人形(ひとがた)祓い所」があります。

地主神社の「祈り杉」は、ただ呪いのためではなく、悪縁や厄災を断ち切って良縁の「おかげ」をいただける霊験あらたかな神さまとしても信仰を集めてきたようです。

「丑の刻参り」と聞くと恐ろしい呪いの儀式というイメージがおおきいのですが、本来の意味はその逆で心願成就の祈りの参拝だったそうです。

遙か昔、丑の年・丑の月・丑の日・丑の刻に貴船大神が天下万民救済のために、仏国童子を儒者とし貴船山中腹の鏡岩に降臨したことが由来……とも 伝わっています。

京都・地主神社の公式ホームページ、地主物語「いのり杉 のろい杉」にはこのように記してあります。

本当の声に素直になること

ときに人は、妬んだり、恨んだりするよこしまな心が出てくる場合がある。また、先の話のように、失った愛を取り戻すため、五寸釘を打ち込んで縁が切れるよう祈ったり、ということも。しかし、気付かないうちに、心の底ではいつも神に助けを求めている。この本当の声を神様は受け止めてくれ、拭い清めて、良縁へと導いてくれるのである。

京都・地主神社 地主物語 夏 「いのり杉 のろい杉」 より

心の底から祈るのであれば呪いではなく、良縁と出会えるように祈りたいものです。

※地主神社は社殿修復⼯事のため、2022年5月以降、約3年間の予定で閉門となっています。

【追記…こんな伝承も。「丑の刻まいり」で願いが叶った子ども】

ちなみに、柏市の「柏のむかしばなし」にも「丑の刻まいり」というお話があります。

流行病で多くの病人がでた村で、母親が病気になってしまった子どもがいました。母親の熱が下がらないことを心配した子は、村はずれの神社に「丑の刻参り」を一週間続けて「おっかあの病を治してください」と一心に祈り続けたそう。

一週間目、急に足元に白いネズミが現れ、子どもと母親の住む家まで一緒についてきたそうな。それから、どんどん母親の病は快方に向かったそうです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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