武士道バイブル『葉隠』が説く、人の上に立つ者の心得!部下のやる気を引き出すには…:2ページ目
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……よく相手との力関係によって「コイツには声をかけなくていい。向こうからかけてくるべきだ」などとふんぞり返っている残念な方に、ぜひとも聞かせてあげたいですね。
戦場に出れば、偉かろうと卑しかろうと、みんな平等に殺し合うのです。何なら身分が高いほど、標的にされる可能性が高まります。そんな時、日ごろの怨みとばかりに裏切られては目も当てられません。
現代のビジネスでは、さすがに命のやりとりなどしないでしょう。しかしここ一番でサボタージュ(妨害工作)でもされて数千万、数億円の取引がパァになった……そんなことがないとも限らないのです。
終わりに
結局、合戦でもビジネスでも、事業を成功させるには人間の働きが一番大事。その原動力は、人間の心にかかってきます。
かつて織田信長(おだ のぶなが)が「人は心と気を動かすを以てよしとする也」と言った(『備前老人物語』)のはまさにそれで、彼もまた部下への信頼を示すため、こまめに声をかけていました。
もちろん声をかけるのは「こまめ」が肝要。台本みたいな名文句を一度かけてそれっきり、では嘘を見抜かれてしまいます。横着してはなりません。
仲間の絆は一朝一夕で出来上がるものではなく、永い歳月をかけて地道に築き上げていくもの。最初は誰でもぎこちないですが、照れずにコツコツ続けることです。
「よぅ田中(仮名)。いつもお疲れさん、あまり無理すんなよ」
こんなセリフが自然と(心から)言えるようになったら、田中さんも少しずつあなたに心を許し、本来の実力を発揮してくれることでしょう。
相手を変えるのは大変ですが、自分が変わるのは今からでも出来ます。もし人間関係にお悩みなら、まずは自分から変えてみるのも一策です。
※参考文献:
- 古川哲史ら校訂『葉隠 上』岩波文庫、2011年1月
- 笠谷和比古『武士道 サムライ精神の言葉』青春出版社、2008年8月
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