着物の襟はどっちが手前?マナーの由来は奈良時代の法律「右衽着装法(うじんちゃくそうほう)」にあった:2ページ目
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日本人は右利きが多いので、右手で懐にモノを出し入れしやすい右襟が普及していったのも道理です。
とすると、もしかして古代の日本人は左利きの割合が現代よりも多かったのでしょうか?右利きの人は右襟で、左利きの人は右襟の方が便利……なんて考えてみるのも面白いですね。
終わりに
かくして日本人に右襟が定着したのですが、それではなぜ死人の装束は「左前」なのでしょうか。
左前にする理由は諸説あり、死者の世界が生者の世界と真逆であると考えられたためとか、あえて逆さにすることで魔除けにするため等の説があります。
この左前が転じて運勢が傾き、暮らしが苦しくなることを「左前になる」などと言いますが、なるべく使わない(そういう事態を回避できる)ように頑張りたいですね。
近ごろはなかなか着物を着る機会が少ないものの、こうした豆知識を覚えておくだけでも面白いものです。
※参考文献:
- 小沢康輔『暮らしのなかの左右学』東京堂出版、2009年10月
- 佐原真『佐原真の仕事5 衣食住の考古学』岩波書店、2005年7月
- 舘野和己『古代服飾の諸相』東方出版、2009年5月
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