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「荘園」は大規模な脱税システムだった!?平安貴族はいかにして私腹を肥やしたのか

「荘園」は大規模な脱税システムだった!?平安貴族はいかにして私腹を肥やしたのか:2ページ目

脱税、財政悪化、そして「武士」が誕生

この「荘園」には、単に貴族や寺社の広大な私有地というだけではなくもうひとつの意味がありました。大規模な「脱税」にも使われていたのです。

荘園にも課税されており、徴収するのは国から派遣された国司(こくし)の役目です。しかし、例えば藤原家の貴族などは国司よりも強大な権力を持っており、彼らが納税を拒否するともうどうしようもありません。

そこで他の荘園領主も、土地を貴族や寺社に寄贈するようになります。実質的に自分が管理している土地でも、形式的に貴族のものとしてしまえば税金は取られません。その上、貴族の名義のもとで仕事をした方が手当てももらえるので、当然みんなそうします。

こうして、脱税システムとしての荘園ばかりが増えていき、国有地はどんどん減っていきます。一説によると、もともと墾田永年私財法そのものが、藤原氏がこうした脱税システムを完成させるために提案したものだとも言われています。

こうして、ますます国の財政は悪化していきます。

ここでもうひとつの動きがありました。国の財政悪化に伴い治安も悪化していったのです。当時の日本では今で言う警察組織が廃止されており、取り締まりができなくなっていたのでした。

そこで登場したのが「武士」です。治安の悪化によって荘園をめぐる係争が次第に頻発する中、貴族たちは腕っぷしの強い人間を雇って武装化し、自身の荘園を守ろうとしたのです。この警備役こそが「武士」の起源です。

3ページ目 荘園システムの崩壊から「領土願望」へ

 

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