鳩やムカデ、ワニまで!?八百万の神のみならず、神獣も多種多様のニッポン:2ページ目
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日本には存在しなかったワニ、羊まで!
昔話「因幡の白兎」に登場するワニですが、よく考えると野生のワニって日本に存在しませんよね?
なのになぜ日本の昔話に登場したのでしょうか。長らくその和邇(わに)は、実は鮫のことだと言われてきました。しかし似たような伝承は東南アジアの複数の国にもあり、そちらの物語がそのまま日本に伝わったともいわれています。
しかし、西日本にイリエワニが泳いで流れ着いた可能性もあるので、あながち日本人がワニを見たことがないともいえないとか。
ワニの伝説では、宮崎県の「鵜戸神社」の海神の娘「豊玉毘売命(とよたまのひめのみこと)」のお話が有名です。夫の火遠理命(ほおりのみこと)は昔話の山幸彦のことで、兄の海幸彦の釣り針を失くしたことから豊玉毘売命を娶ることになります。その話はここでは端折りますね。
彼女は産気づくと、自分で鵜の羽で葺いた産屋を作ります。そして夫の火遠理命(ほおりのみこと)に「決して開けてはならない」と念を押して産屋へ入りますが、火遠理命がこっそり開けてしまうと、中にはワニの姿に戻った豊玉毘売命が出産しており、正体を見られた彼女は海に戻ってしまったということです。
「鶴の恩返し」といい、このような異類婚の話はたくさんありますね。鵜戸神社の名の由来は、豊玉毘売命が作った産屋に基づいています。
羊は十二支には登場しますが、日本では飼育されていない動物でした。なぜそんな羊が寺社の彫り物などに登場するかというと、仏教の虚空菩薩の乗り物や使いとされているからです。
虎や羊など、見たこともない動物を屏風や彫り物に残す日本人は手先が器用ですね。
いったいどんな動物だと思いながら描いたり彫ったりしたのでしょう。
みなさんも神社に行ったら名脇役の「神獣」に注目してみてください。
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