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風俗文化の象徴。性愛・性交を描いた絵画「春画」の歴史と移ろい【前編】

風俗文化の象徴。性愛・性交を描いた絵画「春画」の歴史と移ろい【前編】

春画の起源

紀元前から性をテーマにした絵画や彫刻は世界中に存在した。春画の原型は中国から平安時代(12世紀頃)にもたらされた房中術(性行為のおける技法を示した解説図)の指南書だとされる。以後、日本独自の発展、進化を辿った。

平安時代には初期の春画が多く製作され、性行為を露骨に描写したものや、歪曲しユーモラスに表現したものなどバリエーションに富んだ作品も登場した。

現存している最古の春画は、平安時代末期に描かれた春画の絵巻物「小柴垣草紙(こしばがきぞうし)」と考えられている。

この春画は平安時代中期の皇族であった済子女王と、武士である平致光の密通を描いたものと推察されている。原本は現存せず、現代に残るのは伝本のみである。

室町〜戦国時代

この時代になると、春画を描く絵師の数も増加し需要は拡大した。戦国時代の春画には性に対する教科書という側面もあり、若者は春画によって性知識を得ていたと考えられている。

また、戦国時代における武士たちの中には、出陣にあたって鎧や具足の中に春画を忍ばせる事で戦に勝つという呪術的効果を期待した風習があった。

武士たちは慣例として戦の前に女性と肉体関係を結ぶことを禁止されていた。春画はお守りとして用いる他、戦場での緊張を緩和し、性欲を慰める手段としても活用した。

それらの春画は「勝絵(かちえ)」とも呼ばれ、広く親しまれた。

春画は新婚生活に必須?江戸時代、春画はただ見るだけのものじゃなかった

春画というと男女が見て楽しむものというイメージがありますが、実はほかにも様々な役割が!例えば、花嫁向けの参考図版としての役割もあったそう。春画の中でも特に立派なものは、裕福な家や身分の高い家の嫁入り道…

【後編】へ続く

 

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