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大河ドラマ「鎌倉殿の13人」佐藤浩市の熱演に期待!上総介広常の強烈なキャラクター【下】

大河ドラマ「鎌倉殿の13人」佐藤浩市の熱演に期待!上総介広常の強烈なキャラクター【下】:3ページ目

広常を暗殺せよ!梶原景時に指令下る

「……お呼びにございまするか」

「来たか、平三(へいざ)」

時は寿永2年(1183年)12月、頼朝公は御家人の梶原景時(かじわらの かげとき。平三)を呼び、広常の暗殺を命じます。

「……やはり、ご謀叛で」

「いや、確証はまだない」

先日、広常は上総国一宮・玉前神社(たまさきじんじゃ。現:千葉県長生郡一宮町)に甲冑を奉納し、その兜の緒に、一通の願文(がんもん。祈願文)が結びつけてあったと言うのです。

「願文は既に神仏へ帰するものなれば、その文面を検(あらた)めることは叶わぬものの、それをよいことに何かよからぬ事を祈願しておるやも知れぬ」

「確かに、根拠は薄うございますな」

「この際、あやつの本心はどうでもよい。我らが鎌倉において、誰よりも多くの兵を従え、我が意に沿わず御家人らとも諍いの絶えぬ者が、神仏に『何か』奏上いたせば、それに乗じて動きを起こす者がおらぬとも限らぬ」

事実、広常の影響力はそれだけ強大なものであり、もしそれがマイナスに作用してしまえば、頼朝公の武士団はたちまち崩壊してしまうリスクをはらんでいました。

「……御意」

命を受けた景時は広常を双六(すごろく。現代のバックギャモンに近いゲーム)に誘い、大いに盛り上がったところ、一瞬の隙を衝いて一刀のもとに斬り捨てたそうです。

エピローグ

しかし、広常は冤罪でした。一宮へ奉納された甲冑の願文を見ると、その内容は頼朝公の武運長久を願うものばかり。

「これは……」

「先に申したであろう……『その本心は問わぬ』と」

頼朝公は自らの狭量を恥じ入り、謀叛の連帯責任で処罰してしまった遺族らを赦免。広常を懇ろに弔ったということです。

味方になれば頼もしいが、敵に回すと恐ろしい……濃厚なキャラクターが忘れられない上総介広常の生涯を駆け足で辿ってきましたが、佐藤浩市さんの配役(※)にピッタリではないでしょうか。

(※)記憶にある限りでは、大河ドラマ「新選組!」の芹沢鴨(せりざわ かも)や、映画「のぼうの城」の正木丹波守(まさき たんばのかみ)など、武骨で癖の強い役が多い印象です。

こういう曲者揃いの武士団を束ね上げる「鎌倉殿」と、それを支える主人公・北条義時(ほうじょう よしとき)の苦労が偲ばれますが、今から放送が楽しみですね!

【完】

※参考文献:
上杉和彦ら『戦争の日本史6 源平の争乱』吉川弘文館、2007年3月
細川重男『頼朝の武士団 将軍・御家人たちと本拠地・鎌倉』洋泉社、2012年8月

 

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