意外と呑気な後方部隊?「関ヶ原合戦図屛風」のいちばん左上にポツンとあるのは誰の陣?:2ページ目
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終わりに
他にも関ヶ原合戦図屏風をじっくり観察すると色々興味が惹かれるもので、パッと気づいた面白いものをいくつか挙げてみます。
※文末の()は屏風の位置。6つ折りになっている屏風を右から数えています。
- 家康の本陣近くに神社があるけど、誰が祀られているの?(1枚目、一番右下)
- 松林から火の手が上がっているように見えるが、一体これは誰の仕業?それとも単なる紙や絵の具が変色しただけ?(2枚目、上の方)
- 徳川四天王の一人として名高い本多忠勝が落馬しているが、いったい何事!?(3枚目、中段)
- 徳川の使番(つかいばん。伍の旗指物をした伝令)が日の丸扇を掲げて走っているのはどんな意味があるの?(4枚目、下段ほか)
- 小さなお社があるけど、それを祀る人が近くに住んでいたの?(5枚目、上段と下段)
……他にもたくさん細かな描写がなされており、戦う武将たちの仕草や表情も実に躍動感にあふれていて、実に興味深いものです。
もちろん、写真や動画ではないので事実ありのままではないのですが、それでも作者の意図や関係者の認識など、当時の人々が合戦をどのようにとらえ、後世に伝えようとしたのか思いを馳せるには、絶好のキッカケとなります。
「これが関ヶ原合戦図屛風です」と言われると、大抵は「ふーん、そういうものなんだ」とスルーしてしまいがちですが、色々発見があるものですから、お時間の許す限りじっくりと観察してみると楽しいですよ。
※参考:
- 髙橋修 監修『図説・戦国合戦図屏風』学習研究社、2002年9月
- 関ヶ原合戦図(井伊家伝来資料)- 彦根城博物館
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