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若冲、国貞、広重…今が旬の「紫陽花」を描いた日本画・浮世絵作品を紹介

若冲、国貞、広重…今が旬の「紫陽花」を描いた日本画・浮世絵作品を紹介

喜斎立祥(歌川広重2代)《東京名所三十六花撰 東都浅草花やしき紫陽花》

1866(慶応2)年(クリックで拡大)

歌川広重の弟子・喜斎立祥(きさい りっしょう、二代目広重とも)が描いた連作「東京名所三十六花撰」より「東都浅草花やしき紫陽花」です。

師匠ほどは聞きなれない名前ですが、横浜で海外輸出用の茶箱のラベル絵を描いていたことで有名です。

ここでは花屋敷から見た、浅草寺五重塔を描いています。ちなみに、「浅草花やしき」は遊園地のイメージがありますが、当時は植物園でした。

花や葉の形など、紫陽花の書き方は師匠にそっくりですが、こちらは背景色も白く構図もシンプルなぶん、花のグラデーションをより鮮やかにしています。

菱田春草《紫陽花》

1902(明治35)年 足立美術館蔵

最後に紹介するのは、明治時代の作品です。明治になると、かなり現代的な表現になりました。

単色の紫陽花が、ふんわりと優しそうな筆遣いで描かれています。右上から光が差し込む表現も素敵です。

そして、この絵には輪郭線がありません。これは「没線(もっせん)画法」といって、輪郭線を使わずに光や空気を表現する技法で、横山大観と菱田春草が考案しました。最初は批判されましたが、二人の絵が海外で評価されるにつれ、国内でも認められていきました。現代ではスタンダードな技法となっています。

余白を大きく取り、色使いもワントーンでまとめられているので、少し儚い印象も感じられます。

最後に

以上、今回は紫陽花を描いた日本画・浮世絵作品を紹介しました。

梅雨の時期は気分が落ち込みがちですが、紫陽花の花や絵を見て少しでも明るい気持ちになれたら良いなと思います。

 

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