古代日本の大決戦!なぜ白村江が「はくすきのえ」と呼ばれていたのか、諸説を紹介:2ページ目
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「すき」は日本語?それとも漢語?
村という字を「むら」「ソン」以外で読むパターンを調べてみたら、そういえば村主(すぐり、すくり)という苗字がありました。
調べてみると、古代朝鮮語で村を意味するsu-kur(スクル)に由来するそうで、「すく+のえ(江)」の音が訛って「すきのえ」になったものと考えられます。
他の説では、戦場となった白江(現:錦江)の河口の洲(す。島)に城(き。城柵)があり、「白江+洲(す)+城(き)」が縮まった「はくすき」に沿岸を意味する「江」を加えて「はくすきのえ」となったと言います。
似たような説に、その城柵が白村(はくそん)という名で「はくそんき(白村城)の江」が訛って「はくすきのえ」になったとも言われています。
とりあえず3つの説を言語別に分割すると、以下のようになります。
1つ目「はく(白。漢語)+すき(村。朝鮮語)+のえ(江。日本語)」
2つ目「はく(白。漢語)+すきのえ(洲城江。日本語)」
3つ目「はくす(白村。漢語)+きのえ(城江。日本語)」
どの説も「はく(白)」は漢語(朝鮮語の可能性も)、「のえ(江)」は日本語ですが、「すき」は朝鮮語だったり日本語だったり、あるいは漢語(す)+日本語(き)の組み合わせだったり、さまざまな可能性が興味深いですね。
こうした解釈に諸説ある曖昧さを嫌って「すべて音読みなら文句なかろう」とばかりにオール音読みにしてしまう合理性も解らなくはありませんが、先人たちが呼び習わしてきた名前の味わいを、次世代にも伝えていきたいものです。
※参考文献:
鈴木治『白村江 古代日本の敗戦と薬師寺の謎』学生社、1999年1月
中村修也『天智朝とアジア 唐の支配から律令国家へ』NHK出版、2015年10月
平凡社『改訂新版 世界大百科事典』平凡社、2007年9月
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