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いちまい、にまい…怪談「番町皿屋敷」悲劇のヒロイン・お菊の怨霊は、なぜ皿を数え続けたのか?

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終わりに

つまり、お菊は自分で皿を割ってしまったのではなく、逆恨みした家来に隠されてしまったからこそ「どこかにあるはず」と数を確認し、必死であと1枚を探していたのですね。

その後、お菊を手討ちにした主膳はともかく、彼女を陥れた家来が何かしらの報いを受けた記録はないようで、「このままではスッキリしない」という人々の思いが、怪談「番町皿屋敷」を作り上げていったのかも知れません。

……物語では、主膳が皿を失った腹いせとして、お菊の右手中指を切り落とした祟りにより、後に生まれた子供には右手中指がなかったそうで、それを知った幕府は主膳を不吉≒不心得として改易(所領を没収)に処したのです。

それでも屋敷内にお菊の声がやむことはなく、事態を重く見た幕府は高僧に鎮魂を依頼。読経中「はちまーい……くまーい……」と聞こえてきたお菊の声に「十」と応じたところ、怨霊が成仏。それっきり、声はしなくなりましたとさ。

めでたし、めでたし。

※参考文献:
伊藤篤『日本の皿屋敷伝説』海鳥社、2002年5月

 

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