江戸の戯作者・滝沢馬琴がブチギレ!滝沢家のトイレの肥え汲み事件とは?
江戸時代後期の超売れっ子戯作作家・滝沢馬琴。彼はものすごい筆マメで、日々些細な出来事も事細かに日記をつけていたのは有名です。今回はそんな滝沢馬琴の日記の中から、トイレにまつわるおもしろエピソードをご紹介します。
馬琴、肥え汲み料でブチギレる
江戸後期の天保2年(1831)7月の事。18日昼前に、肥え汲み百姓が滝沢家にやってきました。この日来た百姓は、いつもの「伊左衛門」という肥え汲み百姓の代理で初めて来た者でした。
当時の下肥えは価値が高く、その肥え汲み百姓はナスを250コも持って来たそう。しかし馬琴はその数を聞くやいなや「ナスの数が足りない」と反論(ちなみにプライドの高い馬琴は直接肥え汲み百姓と話すのを嫌がり、以下の内容は全て、息子の嫁を間に挟んでやり取りしています)。
馬琴の反論に対し、百姓は「1人につきナス50コの約束ですから、お宅は大人5人で250コです」。
馬琴すかさず、「いや、うちには子供が2人いる。子供2人で大人1人分に勘定するから6人分、つまりナスは300コが正しい」。
百姓も負けじと「いえいえ、15歳以下は数に入れませぬ。250コです」。
馬琴は苛立ち、「前回の肥え汲みは干し大根を300コ持って来た。分かってるのか!」。
それを聞いた百姓はうそぶいて、「前回の事は知りません。次回の干し大根も250コの予定ですけど」と強気の態度。
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