見応えある妖怪大行進だ!江戸時代に絵師がこぞって描いた「百鬼夜行」まとめ
鬼や妖怪が深夜に行列をなして行進するという「百鬼夜行」。
日本では昔から言い伝えや説話に登場する百鬼夜行ですが、江戸時代を中心に様々な絵師が百鬼夜行を題材とした浮世絵や絵巻物を製作しました。いろんな妖怪が一堂に会する話なだけに見た目の面白さもあり、人気ある題材だったのかもしれませんね。
絵師それぞれのテイストの百鬼夜行が描かれましたが基本的にはユーモラスで楽しげな雰囲気があり、現代の漫画にも通じるところがあります。こんな行進なら一度は見てみたい気も。
今回はいろんな絵師が描いた百鬼夜行をまとめてご紹介します。出典元では百鬼夜行絵巻の全体を閲覧可能になっています。ぜひユーモラスな妖怪の行列を鑑賞してみてください。
『百鬼夜行絵巻』真珠庵本(部分)
西尾市岩瀬文庫コレクション(部分)
おなじみの妖怪から動物系までさまざまな姿をした妖怪たちが9.5mもの長さにわたって登場。絵巻の最後には、妖怪たちは神々に退治されてしまいます。
画材から西洋絵の具が入ってきた近代以降のものと思われますが、作者不詳。西尾市岩瀬文庫所蔵。
百鬼夜行絵巻 前半
国際日本文化研究センター所蔵の百鬼夜行絵巻。全長6.8m!
毛むくじゃらの大きな黒布妖怪が風をおこしています。右側からは青い龍顔妖怪と黒っぽい匙妖怪が黒塗の妖怪を追いかけています。
「百鬼夜行・相馬内裏」
作品名:百鬼夜行・相馬内裏
絵師:落合(歌川)芳幾
明治26(1893)年の作品。「相馬内裏」とは平将門が下総国相馬に建てた屋敷のこと。文化3年(1806)に出版された『善知烏安方忠義伝』(うとうやすかたちゅうぎでん)載る話を題材にしています。
「百鬼夜行絵巻」道治模写 上柳家蔵
百鬼夜行絵巻は大徳寺真珠庵所蔵の「真珠庵本」がオリジナルではないかと言われています。作者は土佐光信と伝えられており、土佐派の絵師たちによって繰り返し模写されてきました。
この百鬼夜行絵巻も模写された作品の一つ。絵巻の全体はこちらから。
出典:京都一条 妖怪ストリート
百鬼夜行絵巻 (松井文庫)
熊本県の八代城主である松井氏に伝えられた絵巻物で1832年の作品。作者は八代城の御用絵師、尾田淑太郎(郷澄)。
こちらは他の百鬼夜行巻のように行列を作っておらず、妖怪1つずつに名前をつけて紹介しており、妖怪百科のように制作されています。
画本西遊記百鬼夜行ノ圖
制作者は玉園(ぎょくえん)。浮世絵で描かれた百鬼夜行。孫悟空と日本の妖怪たちの対峙の様子が3枚の続き絵に描かれています。
外国船がしきりに周辺海域に出没していたという当時の世相が反映されています。
出典:風俗図会データベース