醍醐味って何味?
「これが釣りの醍醐味だ」
「夏の醍醐味といえばこれだ」
なんていうふうに使われる「醍醐味」という言葉。
辞書で調べると、そのものの持つ真の味わい、といった意味だそうです。
じゃあこの味わい、一体もとはどんな味だったのでしょうか?
醍醐は昔むかしの乳製品
醍醐味の「醍醐」、これは昔むかしの乳製品のことだそうです。
どのくらい昔かというと、10世紀頃のこと。しかもこれ、日本国内で作られていたというのですから驚きですよね。
日本で牛乳や乳製品がポピュラーなものになったのは戦後のことというイメージがあったので、実はもっと長い歴史があるということにビックリです。
この醍醐は、牛乳を煮詰めて熟成させるチーズのような乳製品で、非常に貴重な高級品とされていました。
牛乳から醍醐が作られるまでの過程は、乳→酪→生酥→熟酥→醍醐、という流れだそうです。
しかし、この製造方法については完全に絶たれてしまっているので、10世紀のものと全く同じ内容の醍醐を作ることは現在ではできないそうです。
この醍醐ができるまでの過程は仏教の経典である「大般涅槃経」に記されており、最上級である醍醐と同じように涅槃経も仏教の教えで最上のものだ、と使われています。
ここから「醍醐味」という言葉が生まれたのではないか、と言われています。
醍醐と醍醐天皇の関係は?
歴史の授業を受けていると出てくるのが醍醐天皇や後醍醐天皇です。
この天皇の名前から察するに、何か醍醐と関係があるのかしら?そう思って調べてみると、実は醍醐天皇の醍醐は御陵のあった場所の地名に因んだものだったとか。
そしてこの御陵の管理をしていた醍醐寺の名前の由来はというと、醍醐寺の湧水を飲んだ醍醐山の神の化身である老人が「ああ醍醐味なるかな」と言ったからだと言われています。
どちらももともとの乳製品の醍醐とは直接関係はないようですね。
ということは、醍醐味という言葉はそうとう昔から使われているものということが分かります。