[写真レポート4] 着物イベント「きものサローネ」の大人な夜、Classic Nightレポート:2ページ目
尾上博美 日本舞踊 &トークショー 日本の美しい所作と心
尾上流師範として舞踊の世界で活躍する尾上博美さん。凛と張り詰めた緊張感の中に、日本人としての所作・作法をすべて凝縮したような美しさを湛える、日本文化の神髄を見るような舞台を、三味線と琴の伴奏で魅せました。
五年前に「Wafure」という和装ランジェリーのブランドを誕生させて話題を集めた張本人でもあります。一般の和装下着があまりにも機能だけで美しさがないのが残念、という思いから、美しい和装ランジェリーの開発・販売を行っています。
きものでの立ち居振る舞いを知り尽くしているからこその美が、踊りにもランジェリーにも感じられました。
狂言師 野村万蔵トークショー狂言のいろは、狂言のきもの
由緒正しき家に生まれた和泉流狂言師 九世の野村万蔵さん。正統な古典狂言を受け継ぎながら、その現代的アレンジにも取り組んでいます。
舞台には、古くから代々野村家に伝わる貴重な衣裳が飾られました。とくに中央に飾られた「肩衣」は、その柄が様々なものに衣装として使われる有名なもので、その本物が野村家にあり、それを今回は特別に展示して披露。
そして、弟子ひとりがモデルとして登場し、狂言意匠の着付けを実演。ふつうのきものとは違う独特なコツの要る意匠だが、慣れた手さばきであっという間に袴まで装着していました。また、セリフまわしの話では、同じセリフを能と狂言と歌舞伎それぞれのスタイルで演じてみせ、場内を湧かせました。
松本蘭 きもので奏でるヴァイオリンミニリサイタル
国内外で活躍するヴァイオリン奏者の松本蘭さん。2009年度には「ミス着物」に選ばれ、着物(とくに振袖!)を着て演奏することが多いそうです。海外では、日本の衣裳を着て西洋の音楽を演奏する和と洋の融合が称賛されているそう。
トークでは、洋服のときとの立ち方、足の向きの違いなど着物で演奏するときのちょっとした苦労も語られました。名曲の数々を披露した演奏では、長い袖がまったく演奏の邪魔にはならず、たったひとりの舞台を美しく演出する舞台装置の役割を果たす様が非常に印象深かったです。
トークと音楽、踊り、そして学びと、大人の時間ならではのスペシャルなイベントとなったClassic Nightでした。
( Photo by Lyuta Ito )
きものサローネ in 日本橋 2015のレポートはこちらからどうぞ。