親友か平安時代のBLか? 安倍晴明と深い仲だった笛の名手・源博雅が持つ不思議な能力【後編】:2ページ目
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鬼と笛の腕前を競う
ある月の明るい夜。朱雀門の前を、笛を吹きながらそぞろ歩いていた源博雅は、直衣(のうし/公家の衣装)姿で笛を吹きながら歩いている男と出会います。
耳を澄ませてみると、言葉では言い尽くせないほどの美しい音色だったので近寄ってみたところまったく知らない人物でしたが、2人は向き合いお互いに言葉を交わすこともなく、一晩中笛を吹きあったそうです。
あまりに見事な笛なので交換してもらったところ、いままで博雅が吹いたことのないような名笛だったとか。
その後、月夜のたびこの人物と笛を吹きあっていた博雅ですが、「笛を返せ」といわれないまま手元に残していました。
博雅が亡くなってから、笛は帝に譲られましたが、名手たちに吹かせても、誰も吹けなかったそうです。
そこで、浄蔵という名人が、朱雀門まで出向き笛を吹いたところ楼上から「やはりその笛は銘品であるな」との声が聞こえてきました。その声は朱雀門の鬼で、実は笛は鬼のものだったということが分かりました。
この笛は「葉二(はふたつ)」と名付けられ、天下の名笛として藤原道長に伝わり御物となり、藤原頼道が平等院を造営した際に経蔵に収めたそうです。
日が落ちると漆黒の闇に包まれる平安時代。
人々に恐れている存在だった鬼が、実は風流を好み弦楽の達人で、人だろうが鬼だろう「美しい曲を奏でる相手」には臆することもなく魅せられていく源博雅。
そんな博雅の才能やおおらかな人柄に鬼も、そして晴明も魅せられたのかも……と想像できるような、エピソードでした。
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