平安時代のインスタ!?清少納言の『枕草子』は共感する毒舌と炎上しそうな悪口が面白い(後編)【光る君へ】:2ページ目
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「似げなきもの」「かたはらいたきもの」
第四十二段「似げなきもの」(似合わないもの)という分では、
(原文)
にげなきもの。下衆の家に雪の降りたる。また、月のさし入りたるもくちをし。月のあかきに、屋形なき車のあひたる。
(意訳)
貧乏で下衆なものの家の屋根に降り積もる雪は似合わない。月の光がさすのも悔しいほど似合わない。さらに月が明るい夜、屋根のないような荷車に月あかりは似合わない。
ほかにも、「かたはらいたきもの」(我慢ならない・イラつくもの)としては、「自分は可愛いと思っているんだろうけど、可愛くもない赤ん坊の声を真似してしゃべったことを人に話している母親」はイラつくと悪口をいっています。
「はしたなきもの」(バツが悪いもの)としては、他人が呼ばれたのに自分だと思って出て行ったときはバツが悪い、特に何か物をもらえるときだったら余計バツが悪い、などと取り上げています。
「人の悪口を言っているときそれを小さい子が聞いていて、本人がいるときに話してしまわれるのもバツが悪い」……とも。
たしかに、これはバツが悪いですよね。
豊かな感性と鋭い視点を持つ清少納言の『枕草子』。
もちろん美しくエレガントな文章も素敵なのですが、こんなに才能あふれる宮廷キラキラ女子なのに、意地悪な視点で現代の裏垢女子のように包み隠さず毒舌をいう部分もあるからこそ、1000年に時が過ぎた現代でも「わかる!」と共感してしまうところでしょう。
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