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母と妻を実験台に…江戸時代、人体実験で医学の進歩と引き換えに家族を捧げた医者「華岡青洲」

母と妻を実験台に…江戸時代、人体実験で医学の進歩と引き換えに家族を捧げた医者「華岡青洲」:2ページ目

麻酔の実験は非常に危険で、最悪の場合死に至るケースも珍しくありません。それでも、母・於継と妻・加恵は、華岡青洲を信じて麻酔開発の協力を申し出たのでした。

その結果、麻酔の量が多すぎたことが原因で、妻・加恵は失明。このような不運な事故に見舞われながらも「通仙散(つうせんさん)」を開発した華岡青洲は、1804年に世界で初めて全身麻酔を用いた乳がんの手術に成功しています。

医学界の進歩

麻酔の概念が存在しなった当時、華岡青洲が開発した「通仙散(つうせんさん)」は、世界中の医学界に革命をもたらしました。

近代麻酔の起源とされるウィリアム・モートンが「エーテル麻酔下手術」の公開実験に成功したのが1846年のことですから、それより40年も早く麻酔の概念を誕生させていたことに驚きを隠せません。

ちなみに飲み薬である通仙散は麻酔がききはじめるまでに約2時間、手術を始められるまでに約4時間必要なため、緊急性を要する手術の場合には使用できないというデメリットもあったようです。

それでも、華岡青洲と妻・加恵、母・於継の協力によって開発された麻酔のおかげで救われた命の数は、計り知れません。

 

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