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理解できる?”鉄道信号機の恋愛”を描いた宮沢賢治の短編童話「シグナルとシグナレス」が実にシュール

理解できる?”鉄道信号機の恋愛”を描いた宮沢賢治の短編童話「シグナルとシグナレス」が実にシュール:2ページ目

そんな二人がある深い霧の夜、互いの顔も見えずに悲しんでいると、倉庫の屋根が二人におまじないを教えました。

「そうか、ではおれが見えるようにしてやろう。いいか、おれのあとについて二人いっしょにまねをするんだぜ」
「ええ」
「そうか。ではアルファー」
「アルファー」
「ビーター」「ビーター」
「ガムマー」「ガムマーアー」
「デルター」「デールータァーアアア」

※本文より

呪文を復唱する口調にだんだん力が入っていく表現に、二人の必死さが伝わります。そして互いを想う一念が通じ合い、ついに奇跡が起きるのですが……。

物語の結末は、是非とも読んでみて下さい(無料の青空文庫で閲覧できます)。

終わりに

以上、宮沢賢治の短編童話「シグナルとシグナレス」を紹介してきました。

本作は岩手県のローカル新聞「岩手毎日新聞(昭和8・1933年廃刊。現代の毎日新聞とは無関係)」大正12年(1923年)5月11日~23日に全11回で連載されたもの(16日、19日は休載)。宮沢賢治が生前に発表した数少ない貴重な作品として知られます。

信号機が愛し合い、電信柱や倉庫がおしゃべりをする世界。賢治の豊かな感受性がいかんなく発揮された作品と言えるでしょう(ちょっと前衛的すぎて、当時は理解されなかったかも……)。

宮沢賢治と言えば「セロ弾きのゴーシュ」「注文の多い料理店」「銀河鉄道の夜」なんかが有名ですが、他にもマイナーな童話がたくさんあるので、皆さんも賢治の“沼”にハマってみてはどうでしょうか。

※参考文献:

 

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