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「鎌倉殿の13人」時政を暗殺せよ!指令を受けた和田義盛と仁田忠常は…第32回放送「災いの種」予習

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鎌倉殿となった千幡、そして頼家は修禅寺へ

さて、邪魔な頼家がいなくなったので、いよいよ北条の息がかかった千幡が鎌倉殿に選ばれます。

吹擧千幡君。被奉立將軍之間。有沙汰。若君今日自尼御臺所。渡御遠州御亭。被用御輿。女房阿波局參同輿。江馬太郎殿。三浦兵衛尉義村等候御輿寄。今日。諸御家人等所領如元可領掌之由。多以被下遠州御書。是危世上故也。

※『吾妻鏡』建仁3年(1203年)9月10日条

千幡は政子と共に輿で時政の館へ移ります。乳母である実衣(演:宮澤エマ。阿波局)も輿で随行。護衛は北条泰時(演:坂口健太郎)と三浦義村(演:山本耕史)らが務めます。

「御家人たちについては、これまで通りに所領を安堵する」

時政は鎌倉殿の名義で御家人たちに書状を発行。代替わりのどさくさ紛れに各地で所領争いが頻発することを防ぐ処置でした。

ちなみに、頼家の側近として活躍してきた平知康(演:矢柴俊博)と紀行景(きの ゆきかげ)は9月12日に京都へ帰るよう命じられます。大河ドラマではもっと前にお役御免でしたが、実際はこの時点での退場です。

阿波局參尼御臺所。申云。若君御坐遠州御亭。雖可然。倩見牧御方之躰。於事咲之中挿害心之間。難恃傅母。定勝事出來歟云々。此事兼思慮之内事也。早可奉迎取之由。御返答。即遣江馬四郎殿。三浦兵衛尉義村。結城七郎朝光等。被奉迎取之。遠州不知子細。周章給。以女房駿河局被謝申之處。成人之程。於同所可扶持之由。被仰御返事云々。

※『吾妻鏡』建仁3年(1203年)9月15日条

さて、鎌倉殿が交代して間もない9月15日、実衣が政子の元へ相談にやって来ました。

「若君が執権の館に住まうことは確かに筋なのですが、牧御方りく。演:宮沢りえ)が何かにつけて若君を害そうと企んでいるらしく、乳母として不安でなりません」

政子も同感だったようで「成人するまで、母の元で育てますから」として北条義時(江間四郎)、三浦義村、結城朝光(演:高橋侃)らに連れ戻させました。

霽。幕下大將軍二男若君〔字千幡君〕爲關東長者。去七日。被下從五位下位記并征夷大將軍宣旨。其状。今日到着于鎌倉云々。

※『吾妻鏡』建仁3年(1203年)9月15日条

また同日、朝廷より千幡君を征夷大将軍に任じる宣旨が鎌倉に到着します。日付はちょうど兄・頼家が出家した9月7日付です。

晴。遠州。大官令等被經沙汰。入道前將軍不可令坐鎌倉中給之由。被定申之云々。

※『吾妻鏡』建仁3年(1203年)9月21日条

かくして千幡が将軍となった以上、頼家は鎌倉にいない方がよかろうと時政や大江広元(演:栗原英雄)らが協議した結果を進言しました。

霽。左金吾禪室〔前將軍〕令下向伊豆國修禪寺給。巳尅進發給。先陣随兵百騎。次女騎十五騎。次神輿三帳。次小舎人童一人〔負征箭。騎馬〕。後陣随兵二百餘騎也。

※『吾妻鏡』建仁3年(1203年)9月29日条

ではどこへ下向いただくべきか……協議の結果、頼家は伊豆国修禅寺へ出発します。

先頭には随兵100騎、続いて女騎馬武者15騎、さらに神輿が3挺、傍らには弓矢で武装した小舎人が騎馬で1名従い、後からは随兵200余騎という物々しい様子でした。

これは前将軍であるからみっともない姿を見せたくなかったのか、あるいは再起を企む者たちによる奪還を防ぐための措置だったとも考えられます。

余談ながら、女性の騎馬武者と言えば巴御前(演:秋元才加)や坂額御前(はんがくごぜん)を連想しますが、それが15人も並んだ姿はさぞや壮観だったことでしょう。

また、3挺の神輿にはどなた(神様)が乗っていらしたのか、その辺りも気になるところです。

終わりに

頼家の出家によって3代目となった千幡。北条一族にとっては万々歳でしょうが、周囲の者たちがこのまま大人しく従い続けるとは思えません。

比企滅亡の戦火より逃げ延びたであろう比企尼(演:草笛光子)、頼家が正室・つつじ(演:北香那。辻殿)との間にもうけた善哉(演:長尾翼。公暁)、そして千幡を害そうとしているらしい“りく”の動きも気になるところ。

ますます混迷を深める鎌倉幕府の権力抗争。果たして義時はこれを断ち切ることができるのでしょうか。

※参考文献:

  • 『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 後編』NHK出版、2022年6月
  • 『NHK2022年大河ドラマ 鎌倉殿の13人 続・完全読本』産経新聞出版、2022年5月
 

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