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ひな祭りの特別ゲスト?ひな人形に飛鳥時代の歌人・柿本人麻呂が飾られる理由とは

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逆境にくじけない強さと、隠れなき和歌の才能

柿本人麻呂(斉明天皇6・660年ごろ生~神亀元・724年3月18日没)は飛鳥時代に活躍した歌人で、その卓越した才能から、後世「歌聖(かせい。歌のカリスマ)」と称えられています。

ただし、その身分は低かったとも言われ(諸説あり)、格調高い和歌の作風とギャップから心ない者たちにいじめられていた可能性も考えられます。

「何だよ、下賤の分際で意識高い系の和歌を詠みやがって(妬ましい)!」

まさに「出る杭は打たれる」ですが、それでも人麻呂の光り輝く和歌のセンスは隠しようがなく、日本の青春文学とも言える『万葉集(まんようしゅう)』をはじめ、彼の和歌は古典文学に生き生きとした彩りを添えています。

こうした人麻呂の「逆境にくじけることなく、隠れなき才能をあらわした強さ」にあやかって欲しくて、ひな人形に仲間入りしたのでしょう。

また、その死後に神様として祀られた人麻呂は、時代が下るにつれて「人丸(ひとまる)」と呼ばれるようになり、「ひとまる」⇒「火、止まる」「人、産まる」というダジャレから、防火や安産のご利益も考えられるようになりました。

現代では多様な価値観が認められるようになりましたが、かつて女の子は台所≒家の火を守り、子供を産むことが大きな使命としてとらえられていたため、防火・安産の神様である人麻呂は女の子の幸せを祈るお祭りにうってつけとされたのでしょう。

♪着物をきかえて 帯しめて
今日はわたしも はれすがた
春のやよいの このよき日
なによりうれしい ひな祭り…♪
※唱歌『うれしいひなまつり』第5番。

何段にもなる豪華なお雛様も、心を込めて手作りしたお雛様も、幸せを願う大人たちの心はみな同じ。どうかすべての女の子が、末永く幸せでありますように。

※参考文献:
北山茂夫『柿本人麻呂論』岩波現代文庫、2006年9月
篠原央憲『柿本人麻呂いろは歌の謎』三笠書房、1990年10月

 

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