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夏にぴったり、ご神体への供物が氷!?東大寺わきにひっそり佇む「氷室神社」

夏にぴったり、ご神体への供物が氷!?東大寺わきにひっそり佇む「氷室神社」:2ページ目

 

さてこの珍しい神社のご神体の一柱は、古代において氷室を管理し、氷を宮廷に献上した豪族「闘鶏稲置大山主命」です。

闘鶏大山主(つげのおおやまぬし、生没年不詳)は、『日本書紀』に登場する豪族・闘鶏国造(つげのくにやっこ)の一人で、現・奈良市辺りの闘鶏という地域を治めていた豪族で、氷を作る技術を知っていた人物でした。

皇族の額田大君がたまたまこの地方に出掛けたときに氷室を発見して氷の貯蔵方法を教えさせ、それから宮中に献上させるようになったとのこと。

日本書紀には尋ねられた闘鶏大山主が、以下のように答えていることが記されています。

『土を掘ること丈余。草を以て其の上に蓋く。敦く茅荻(ちすすき)を敷きて、氷を取りて其の上に置く。
既に夏月を経るに泮(き)えず。其の用ふこと、即ち熱き月に当りて、水酒に漬して用ふ』

訳しますと「土を一丈(約3メートル)あまり掘って、草をその上に蓋としてかぶせて、厚くすすきを敷き、氷を取りその上に置きます。既に夏を越していますが消えません。暑い月に水酒にひたして用います」と答えています。

古代では旧暦6月1日に宮中での氷の節会があり、民間では歯固めとして寒餅や凍餅を焼き、神仏に供えてから食べるという風習がありました。現在は5月1日に全国の製氷・販売業者が参列し今年の業績成就を願う祭りが行われています。

近代まで大変貴重だった氷。湖に張った氷を切り出すか、洞穴などを氷室とし管理するなど自然の力に頼るもの。ある程度氷を管理できる技術はさぞ重宝されたでしょう。

※現在は新型コロナ対策で供物が捧げられない可能性もありますので、確認してから参拝するようにしてください。

氷室神社

〒630-8212 奈良県奈良市春日野町1-4

開門時間: 4月~10月 6:00~18:00、11月~3月  6:30~17:30
拝観料: なし
駐車場: 乗用車のみ24台駐車可能
駐車料金:1時間500円

氷室神社公式ホームページ

 

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