北海道土産で有名な「鮭をくわえた木彫りの熊」は、スイスのお土産にヒントを得て作られた?:2ページ目
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ハイクオリティの熊の彫刻で大成功!すっかり北海道名物に
現代なら、スイスで購入した熊の彫刻は、多くの人がそのまま転売するかもしれません。
しかし帰国した義親は、八雲の農民たちに熊の彫刻を作ることを勧め、「できあがった熊は1個1円で買い上げる」という試みを始めました。
当時の1円と言えば、現代なら4000~5000円に相当しますから、かなり破格の条件です。
1924(大正13)年には、木工品などの農村美術品を集めた品評会が行われ、手先の器用な地元の酪農家が作った「北海道産木彫りの熊・第1号」が初登場しました。これはスイス土産の熊と大差ないほどのクオリティの高さだったといいます。
それから1~2年もすると、熊の彫刻は物置にいっぱい集まり、函館や札幌などで販売するとすぐ売り切れるほどの人気となりました。
その後徳川農場には「農民美術研究会」が発足し、「毛彫り」「面彫り」などが確立され、「八雲の木彫り熊」ブランドは北海道だけでなく、本州でも人気を博すようになっていきます。
徳川義親が木彫りの熊を八雲に持ち帰って広めようと考えた理由は、寒さが厳しく農業が行えない時期の北海道の村民たちの「副業」として現金収入に繋げたいと思ったことと、「木彫り」を農民たちに浸透させて生活文化的にも豊かにしたいと考えたことでした。
熊の彫刻の制作者の中には、教師の初任給くらい稼ぐ人も現れたといいますから、そのどちらも結果的には大成功をおさめたことになります。
ちなみに鮭をくわえた熊の彫刻は、第二次世界大戦後に旭川で作られるようになったものなのだそうですよ。
参考
・ザ・歴史トリビア 明治・大正・昭和のへぇ~100連発/著:西沢教夫
・北海道土産の木彫りの熊、ルーツはスイスにあった
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