流浪と反逆!室町幕府のラスト将軍・足利義昭の苦難と悲劇に満ちた壮絶人生【後編】:2ページ目
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義昭の晩年
京都に戻った義昭は将軍職を辞し、朝廷から准三宮の称号を受けます。これにより、室町幕府は名実ともに終焉を迎えました。その後、義昭は出家し、昌山道休と号して静かな余生を送りました。
晩年の義昭は、秀吉の御伽衆として政治の表舞台を退きつつも、武家社会の伝統や文化を守る立場を担い続けました。また、秀吉からも一定の敬意を払われており、前将軍としての名誉を保ったまま生涯を閉じました。
足利義昭の生涯は、政治的な失敗として語られることが多いですが、彼の生き方には評価されるべき側面も少なくありません。義昭はもともと将軍職に就くべき立場ではなく、出家して僧侶として生きる予定の人物でした。
それが織田信長の協力を得て将軍に就任し、短期間ではあれ室町幕府の再興を果たしたことは、彼の行動力と信念の強さを物語っています。
また、義昭は将軍としての正統性を徹底して守り抜きました。信長に追放されて以降も諦めることなく、全国の大名に書状を送り、自らの存在をアピールし続けたことは、逆境の中での粘り強さの象徴と言えるでしょう。
特に鞆幕府を拠点に信長包囲網を形成し、上杉謙信や毛利輝元といった大名たちと連携を図ろうとした姿勢は、ただの傀儡将軍とは一線を画すものでした。
義昭が将軍として果たした役割には、戦国時代の権力構造において「正統性」という価値観を保持するという重要な意味がありました。彼がいなければ、武家政権の歴史的な連続性はより早く失われていたかもしれません。
いかがでしたでしょうか。足利義昭の生涯から見る壮大な戦国の流れ。
彼の歩みは、日本の武家社会が大きく揺れ動く転換期の象徴そのものであり、その足跡からは、歴史の奥深い重層性と、人間の信念が持つ力を学ぶことができます。
参考
- 桑田忠親『流浪将軍 足利義昭』(1985 講談社)
- 奥野高広『人物叢書 足利義昭』(1996 吉川弘文館)
- 久野雅司 編著『シリーズ・室町幕府の研究 第二巻 足利義昭』(2015 戒光祥出版)
- 久野雅司『中世武士選書40 足利義昭と織田信長 傀儡政権の虚像』(2017 戒光祥出版)
- 黒嶋敏『天下人と二人の将軍:信長と足利義輝・義昭』(2020 平凡社)
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