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ガードの固い才女『小野小町』の食生活は科学者並み!?その美貌の秘密とは

ガードの固い才女『小野小町』の食生活は科学者並み!?その美貌の秘密とは

『玉造小町子壮衰書』にみる小町像とその食生活

さて、平安中期あるいは末期の著作とみられる『玉造小町子壮衰書』の主人公に、小町をモデルにしたといわれる「玉造小町」が登場します。彼女はたぐいまれなる美貌を持ち、さる金持ちの貴族の寵愛を受けて贅沢三昧の生活をしていたというストーリーです。

これを読むと、小野小町は、人前に顔を出さないわりには、美の追求には貪欲だったと分かります。美容にいいという食べ物があれば、それが豪奢な珍味であろうとも積極的に取り寄せて摂取していたのです。

もちろん『玉造小町子壮衰書』はあくまでも創作物であり、本物の小野小町の伝記と言えるかどうかは分かりません。ただ、少なくとも小野小町という人の人物像の形成に大きく寄与してきた書物であることは間違いありません。また何よりも、当時の人はどんな食べ物が美容にいいかを知っていたことを示す、驚きに値する内容です。

小野小町が本当にこうした食生活を送っていたかどうか、その真偽は別としても、これは当時の「食べ物と美容」についての見方を示す、第一級の資料かもしれません。

詳しく説明しましょう。

まず、主人公の玉造小町の食膳には、彼女のリクエストに応じて、山海の珍味が日本各地から集められていました。

その中には、うなぎのあぶら身、ウズラの汁物、鴨の熱汁、がんの塩辛、きじの蒸し肉、大がんの鱠、熊の掌、うさぎの脾臓、煮たるあわび、煎りたるはまぐり、かにの大爪、たにしの胆、かめの尾、鶴の頭部、鯉の旨煮などの食材・料理が並びます。中国の満漢全席のフルコース顔負けの豪華メニューです。

それを、小町はぺろりと平らげてしまうのです。

実は、今挙げた食材・料理の一覧は、いずれもコラーゲンがたっぷり含まれているのです。どうやら小町はコラーゲン含有量の多い動物や魚貝類が好きだったようです。

コラーゲンはタンパク質の一種で、ニカワ質のこと。体細胞の保水能力を高める作用があることから、肌の美しいハリや弾力、しなやかな血管の維持などには欠かせません。

また、関節の動きをスムーズにするので腰痛や膝の痛みにも効きますし、骨を強くする効果もあります。コラーゲンが欠乏すると全身的な老化現象が発生するともいわれており、まさに美容と健康を保つうえで最重要の栄養素です。

ちなみに彼女の大好物は「熊の掌」でした。それが手に入らない場合は、もっぱら鯉を食べたそうです。「鯉!?」と驚かれる方もいるかも知れませんが、もともと、鯉はコラーゲン、ビタミンB1などが多く含まれており、薬として使われていた食材でもありました。むくみや疲労に効き、美容効果も高いのです。

美人の代名詞でもある小野小町の美貌を作ったのは、現代でも、女性が美容を保つための定番の栄養素とされているコラーゲンだったのです。

3ページ目 コラーゲンにとどまらない的確な栄養摂取

 

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