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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る 「どうする家康」名門今川家、ついに滅亡!最後に残されたのは…第12回放送「氏真」振り返り

「どうする家康」名門今川家、ついに滅亡!最後に残されたのは…第12回放送「氏真」振り返り

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「余は何一つ事をなせなかったが……妻一人を幸せにしてやることなら……できるやもしれぬ」

そう言って糸と寄り添いながら退場していく氏真。それが一番難しいんじゃ解ってンのか、など既婚者として言いたいことはありますが。

にしても回想シーンの多い脚本ですね。後付けで「実はこんな事があったのだ」と言われても、視聴者としては「それを一緒に体験していないから、いきなり言われても感動できないよ」と戸惑ってしまいます。

大河ドラマの醍醐味は「主人公たちの人生を演者と一緒に体験し、味わってこそ」だと思う視聴者としては、少し残念な気持ちです。

また、合戦の最中に「これはわしと氏真の戦いじゃ」「そうだ、邪魔するな」などと言っていましたが、モタモタしていると氏真を信玄に殺されてしまう緊急事態ではなかったのでしょうか。

妙なこだわりによって戦を長引かせれば、それだけ将兵に犠牲が出てしまう。そういうリアリティが抜けてしまうと、これまた熱が入りません。これも前回と同様「描きたい場面(今回は家康・氏真の一騎討ち)ありき」による弊害と言えそうです。

更にはいつも同じ場所と戦法で押したり引いたりを4ヶ月繰り返しているような戦闘描写に「ちょっとは学習しなさい」とツッコミたくなってしまいます。

本多忠勝(演:山田祐貴)が槍を投げて氏真が負傷しなかったら、まだまだ攻防戦が続いていた(そして信玄が本格介入、氏真はもちろん家康ともども討たれていた)のかも知れませんね。

また余談ながら、氏真に「信玄が来る前に、腹をお召しなされ」と義元から賜ったと言う脇差を差し出した岡部元信。氏真は受け取った脇差で腹を切るかと思いきや、首筋に当てがいました。

そのまま切らないことは分かっているのですが、頸動脈を切るならあえて介錯は不要です(介錯は苦しまぬよう助ける行為であり、腹を切る行為に比べて頸動脈の失血死は苦痛が少ないとされるため)。

武士が自害するなら、介錯すれば(傍らで刀を振り上げれば)絵になるよね、という意図が却って違和感を招いてしまうのではないでしょうか。

5ページ目 次週・第13回放送は「家康、都へゆく」どうなる?

 

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