弥生時代〜古墳時代の遺物が赤く塗られていたのは何故か?〜「赤色」をめぐる古代人の精神性:2ページ目
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古代より日本で使用された赤色顔料にはベンガラ、水銀朱、鉛丹の3種類がありますが、体に塗っていた朱は赤色顔料で、硫化水銀。丹は赤色の土のことを指します。
弥生時代から古墳時代にかけての赤色顔料としては、主に鉄を主成分とするベンガラと、水銀を含む水銀朱が知られていますが、このうち最も古くから使われていたのはベンガラです。
ちなみに北海道の約1万7千年前の遺跡からは、ベンガラが付着した台石を含む、顔料生産の関連遺物が発掘されています。
呪術でもあり美術でもある色
さらに魏志倭人伝には「日本(倭国)には丹(に)を体(顔)に塗る風習と、丹を産する山がある」ことが記されていて、当時の中国では日本で辰砂の採れることが知られていました。
赤色顔料は旧石器時代から使用されていましたが、古墳時代の人々も赤い色が持つ魔除けなどの意味や、顔料の防腐効果を期待して墓に使用していたのでしょう。
赤の染料は、古代までは茜や朱がメインでしたが、5世紀頃に紅花が加わったことで、より鮮やかな赤を表現できるようになりました。
こうして、日本人にとって赤色は、呪術的な意味合いと美術的な意味合いの両方を兼ね備えたカラーとして受け継がれてきたのです。
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参考資料:歴史の謎研究会『舞台裏から歴史を読む雑学で日本全史』2022年、株式会社青春出版社
画像:photoAC,Wikipedia
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