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そうだったの!?「お勘定」を意味する「おあいそ」実は店側が使う言葉だった
本来使われていた言葉の意味が、長く使われていくうちに逆の意味を持つようになることはよくありますよね。
「おあいそ」という言葉もそのような言葉のひとつです。
今では、飲食店でのお会計時に「おあいそお願いします」という言葉を耳にすることがありますが、この言葉には意外な由来があります。本来は、店側が客に対して「おあいそ」という言葉をかけて、丁寧にお会計を済ませるための言葉だったのです。
「おあいそ」という言葉は、「お愛想」という漢字で表すことができます。この言葉が由来する「おあいそ」という言葉は、もともと、店側が客に対して「退店を促すようなことをせずに、丁寧に勘定書きを手渡すための言葉」として用いられていました。
しかし、今日では、「おあいそ」の本来の意味を知らずに、客自身が使うことも少なくありません。そのため、「おあいそ」という言葉が「お会計」という意味合いで使われることが増えています。
「おあいそ」が現在のように「お勘定」の意味として使われるようになったのは、明治時代に出版された『風俗画報』という雑誌に掲載された記事による影響が大きいとされています。この記事で「勘定をあいそといふなど尤も面白く存じ候ふ」(勘定書きのことを、おあいそというのが京都で流行している)と紹介されました。これが全国的に広がっていき、今日のように使われるようになったとされています。
その後、この言葉が定着するにつれ、本来の意味合いが薄れていきました。今日では、「おあいそ」という言葉を使っても、多くの人々がその意味を知らずに使っていることが多いです。
今では、「お勘定」を意味する言葉として使われている「おあいそ」。実は、店側のお客に対する気遣いや心配りを大切にするための言葉だったというのは驚きです。
参考
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