「鎌倉殿の13人」ついに比企一族の滅亡。頼家が目を覚ますと…第31回放送「諦めの悪い男」振り返り:6ページ目
果たして、一幡の行方は?
さて、棟梁(アタマ)さえ殺(と)ったら後に残るは雑魚ばかり。
平家討伐と違って、かつては共に戦った仲間を殺すのに気乗りがしない和田義盛と、腹をくくって比企一族の討伐に臨む畠山重忠。
「力のある者が残るだけのこと。我らはそれに食らいつくのみ」
なんて言っていましたが、まぁ畠山重忠とすれば、地元の武蔵国内において比企一族は言わば目の上のコブ。滅ぼせる絶好の機会とあれば、これを逃す手はありません。
もちろん北条の縁者であることも影響しているのでしょうが、本来なら比企一族は鎌倉殿の後ろ盾であり、謀反の言いがかりをつけて討伐する北条の方がよほど謀叛人。
道理で言うなら気乗りしないどころか北条を(どんな手を使ってでも)止めるのが筋ですが、ここは利害の一致により協力します。
ともあれ和田・畠山ら御家人たちが突入して一気に勝負を決したのですが、比企一族がその実力を発揮できない(仲間を動員し切れない)内に滅ぼす手際の良さは、さすが北条と言ったところでしょうか。
さて、比企館では道(演:堀内敬子)が指揮をとって一族を戦わせ、比企尼(演:草笛光子)とせつ(演:山谷花純)ら女性たちを逃がします。
一幡を守りながら逃げるせつ、そこに待ち受けた泰時の軍勢。捨て身で斬りかかったせつを、トウ(演:山本千尋)が瞬く間に討ち取りました(斬った?刺した?刺したように見えましたが)。
侍女と共に震える一幡を、善児(演:梶原善)が見据えて泰時の方へ振り返るシーン。この仕草が「殺っちまいますか?」なのか、あるいは「(本当は一幡を)助けたいんだろ?」なのか、ちょっと後者のニュアンスが感じられたのは筆者だけでしょうか。
近ごろ、善児はあまり「仕事」をしません。かつてトウを見逃したのもそうですが、自分で言っているようにそろそろ歳なんでしょう。
『吾妻鏡』では焼け死んだことになっている一幡ですが、『愚管抄』では義時がこれを匿っています。
サテソノ年ノ十一月三日。終ニ一万若ヲバ義時トリテヲキテ。藤馬ト云郎等ニサシコロサセテウヅミテケリ。
※『愚管抄』第六巻より
その年とは建仁3年(1203年)の11月3日。義時は匿っていた一幡を藤馬(とうま。トウのモデル?)という郎党に刺殺させ、その遺体を埋めたのだとか。
理由は定かでないものの、政子あたりに頼まれて匿っていたのを、時政に見つかって守り切れずに泣く泣く殺した可能性も考えられます。
『吾妻鏡』における時政と義時の関係を、大河ドラマでは義時と泰時にスライドさせているようです。