東京 銀座や丸の内、日本橋…浮世絵で見て歩く華やかな明治時代の洋風建築【後編】:2ページ目
2ページ目: 1 2
ロンドンをモデルにした明治東京が誇るメインストリート銀座煉瓦街
京橋を渡るとゴールの銀座に到着だ。
明治に入ってまもなく、江戸時代まで銀貨の鋳造が行われていたこの街は2度の火事が襲われた。それを機に明治政府は、イギリス人建築家トーマス・ジェームス・ウォートルスの設計で銀座の煉瓦街化を計画する。
この計画の目的は「街路整備」と「煉瓦を主材料とする不燃性洋風家屋の建築」。
道幅はそれまでの倍以上の27mにまで広げられ、車道と歩道を分離。道の中央を人力車と馬車が走り、その左右が歩行者専用となっていた。
街区は碁盤の目のように整えられ、ロンドンの街並みをモデルとした通りには、松や桜や紅葉などの街路樹のほかガス燈、アーケードが造られた。
煉瓦造りの建物はイギリスのジョージアン様式で建設された。バルコニーを円柱が支えるデザインが特徴的な建築様式だ。
こうした建物は民間に払い下げられたが、どういうわけか「煉瓦建の家屋に住むと、青ぶくれになって死んでしまう」という迷信があり、当初は空き家が多かった。
しかし、次第に輸入品や洋食屋、牛鍋屋、時計商、西洋家具店、洋服店など新しい商業が集まり、銀座はかつて江戸で大変賑わった日本橋を凌ぐ勢いで発展していくことになる。
日本橋からスタートした明治の洋風建築散歩はいかがだっただろうか。ここでは案内できなかった建物や東京の新名所が実はまだまだある。次回はその中からいくつかを抜粋し、番外編という形で紹介したい。
ページ: 1 2