気を着け、前へならえ! 学校で行われる号令による「集団行動」のルーツは幕末期にあった:3ページ目
体育の言葉の起源は?
「体育」という言葉は、1876 年(明治9年)に文部省の教育雑誌の中に使用されたのが最初とされていますが、広く用いられるようになるのは70年後。
「身体に関する教育→身体之教育→身体教育→身教→体育」という変遷をたどり、1947 年(昭22年)に定着します。
〈変遷まとめ〉
1867年(慶応3年) 「氣ヲ付ケ」 暎國歩兵練法 赤松小三郎
1867年(慶応3年) 「氣ヲ着ケ」 令言図解 田邉良輔
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1940年(昭和15年) 「氣ヲ著ケ」 國民學校の研究 岩下吉衛
1942年(昭和17年) 「氣ヲ著ケ」 國民學校體錬科教授要項並実施細目 岐阜縣 文部省
1943年(昭和18年) 「氣ヲ著ケ」 學校教練教科書 後編 陸軍省兵務課
1946年(昭和21年) 秩序運動に必要な号令・隊列行進・徒手体操などは非軍事的態度で行うこと(通牒)。 文部省
1965年(昭和40年) 「気をつけ」 体育(保健体育)科における集団行動指導の手びき 文部省
1988年(昭和63年) 「気をつけ」 体育(保健体育)科における集団行動指導の手引き 文部省
このことから、体育・保健体育科における「集団行動」の根本は、幕末期フランス軍事顧問団を招聘したときまで遡れるということですね。この号令による集団行動は、現在教育として取り入れているのは、日本だけなのではないでしょうか。
日本国民は協調性や同調性が高いといわれますが、小学校時代に学ぶ「集団行動」の教育も大いに影響がありそうです。
参考:公益財団法人 日本学校体育研究連合会、体育の歴史と役割(城西国際大学)、Jstage(「気をつけ」号令と「気をつけ」姿勢の歴史)など