着物の文様から絵師・鈴木春信の浮世絵「風俗四季哥仙」を読み解く!春信の魅力 その3【後編】
前回ご紹介した「風俗四季哥仙 三月(前編)」に引き続き「風俗四季哥仙 三月(後編)」を紹介します。
今まで紹介した作品はこちらの記事をご覧下さい。
やっぱり浮世絵師・鈴木春信が好き!代表作「風俗四季哥仙」に観る春信の魅力 その1
浮世絵を好む人ならば「鈴木春信(すずきはるのぶ)」の名前を知らないという人はいないでしょう。鈴木春信は浮世絵の草創期に、それまで浮世絵の世界にはなかった多色刷りによる“錦絵”という手法の開発に…
やっぱり浮世絵師・鈴木春信が好き!代表作「風俗四季哥仙」に観る春信の魅力 その2
前回に引き続き、江戸の浮世絵師・鈴木春信の「風俗四季哥仙」から今回は2月の“風流四季哥仙 竹間鶯”と“風流四季哥仙 二月”をご紹介します。1月については前回ご紹介した“風俗四季哥仙 立春”をご…
風俗四季哥仙 三月
“前編”では絵に描かれた和歌の出典元から、この絵が長久元年五月六日に伊勢の斎宮で行われた“斎宮良子内親王貝合”からイメージされた絵なのではないかとご紹介しました。
今回はその続きを読み解いていきましょう。
住吉文様
では、もう一度絵に描かれている女性の模様を見て下さい。
日本独自とも言える海岸線の美しさである“白砂青松”が描かれています。これは「住吉模様」と呼ばれています。
この「住吉模様」とは“住吉大社”周辺の様子を描いた模様のことです。大昔の住吉大社の社前は“白砂青松”と例えられるほど美しい砂浜が広がる海辺で、青々とした松が生い茂る景勝地だったとのです。
それだけではなく“住吉の松”は『相生の松』という伝説に登場するとても有名な松なのです。