江戸時代の人々はどうやって英語を学んだ?今から見ると信じられないその学習方法とは:2ページ目
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今と大きく異なる「発音」「読み方」
昔と今の英語学習における大きな違いは、「発音」と「文の読み方」にあります。
まずは「発音」。現代では、なるべくネイティブの発音に近づけるように練習しますが、なんと江戸時代は全てローマ字で読んでいたのです。
もちろん、現代の英語教育でそんなことをしたらふざけているのかと思われることでしょう。ローマ字読みで覚えることで、スペリングを覚えやすくしようとしていたのかも知れません。
そしてもう一つの違いは「文の読み方」にあります。現代の読み方の手順は「文法訳読式」が採用されており、まず文法や単語の意味をそれぞれ調べてから、それに基づいて文章を日本語に訳すというのが普通です。
一方、江戸時代は「素読」が用いられていました。これは、文章の内容や意味には注目せずにただその文字を読み続けるという方式で、漢文の学習方法を応用したものです。
そもそも当時は「文法」という概念がなく、文そのものを暗記することが目的となっていたのです。ですから、目的に対する手段としては理にかなったものでした。
現代に生きる私たちから見ると、そんな学習方法で何の意味があるんだろう? と首をかしげてしまいますが、実際当時の日本にも英語に堪能な人はいました。そうした人たちは、こうした庶民の学習方法とはまた違ったやり方で覚えていたのでしょう。
今でも「学校で教わる英語は実戦では使えない!」という言説をたまに見かけますね。英語が堪能な人は、「外国人はThis is a Penなんて言わないよ~」なんて言ったりするものです。
庶民の英語教育と、現場で使われていた実践的な英語使用との間に乖離があったのは、今も昔も同じだったのかも知れません。実践知を欠いているという点は、江戸時代から変わらない日本の教育の欠点だったのでしょう。
参考
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