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かつて戦争は景気対策だった!?現代とはぜんぜん違う日本人の「戦争観」とは?

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「戦争で景気回復」は危険なカンフル剤

戦争で景気を回復させるなどというのはいわばカンフル剤で、長くやっていると悪影響が出てきます。例えば物資が不足すれば物価が上昇しインフレを招きますし、景気を支える働き手が戦地に動員されたりします。

しかも戦争が都合よく終わってくれるとは限りませんし、コントロールするのも不可能です。勝てば賠償金をもらえるから国家も潤う、というのは昔の感覚ですが、それならそれで負ければ大変なことになります。景気対策のための方策としてはリスクとデメリットが大きすぎます。

ある意味で不幸なことに、戦前の日本は「敗戦」を経験していません。日清・日露戦争はいちおう勝利していますし、第一次世界大戦でも形式的には戦勝国になっています。しかもどの戦争もわりと短い期間で終わっています。

よって、当時の日本国民には「戦争は短期間で終わり、その過程で景気が良くなるもの」というイメージしかありませんでした。

昭和初期の当時は格差社会でした。だからこそ、積極財政による経済政策で恐慌から抜け出そう! と訴えた政友会に、国民は投票したのです。

もちろん、だからと言って満州事変の処理が完全に忘れられてほったらかしにされたわけではありません。政府が優先順位を見誤り、処理を怠った結果、関東軍は勝手に行動して規制事実を積み上げ、「満州国」を完成させてしまったのです。

参考資料
井上寿一『教養としての「昭和史」集中講義』SB新書、2016年

 

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