戊辰戦争、なんで敗れたか意味不明…旧幕府軍の軍備は当時の最新鋭だった!?:3ページ目
「日本の近代」は江戸期に既に始まっていた
つまり、私たちが明治時代以降の産物だと思っていた「日本の近代」は、実は江戸時代末期にはすでに幕府によって始まっていたのです。それは、戊辰戦争の段階で幕府がすでに「近代的」な軍備を整えていたことからも分かります。
幕府側も西欧文明を取り入れて、新しい時代に向けていろいろと準備をしていたのでしょう。
つまり明治新政府は、江戸幕府がお膳立てしてくれたシステムをうまく乗っ取ることで、いわば「日本の近代」の後継者となったのです。
このように、歴史上のシーン一つひとつをつぶさに見ていくと、「江戸/明治」=「中世/近代」という図式にも実は綻びがあることが分かります。ここでは軍事的な事柄に限って考察しましたが、おそらく同様に「日本の近代は江戸時代から既に始まっていた」という例は他にもたくさんあるでしょう。
政治、文化、経済、学問、技術、医療……。人間の活動や学問にはさまざまなジャンルがあり、それぞれに歴史があります。これを完全な時代区分で分けるのはもともと無理があるのでしょう。
参考資料
原田伊織『消された「徳川近代」明治日本の欺瞞』2019年、小学館