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愉快な歌なのに(泣)しょ、しょ、証城寺♪童謡「証城寺の狸ばやし」に歌われなかった悲しすぎる結末

愉快な歌なのに(泣)しょ、しょ、証城寺♪童謡「証城寺の狸ばやし」に歌われなかった悲しすぎる結末

「人間ながら天晴れ」……親分狸の死

しかし、そんな楽しい?オールナイト合戦も、いつまでもは続きませんでした。

三味線を構えながら「さぁ来い、狸たちよ!」と意気込んでいた和尚ですが、その晩はいつまでも経っても狸たちはやって来ませんでした。

「あれ……?」すっかり拍子抜けしてしまった和尚の持っていた三味線の弦が、いきなりバチンと切れました。

「これは……もしや!」

和尚の不安は的中してしまい、明け方になったころ、一匹の子狸がやって来て言いました。

「……これこれしかじか……」聞けばあの親分狸は腹鼓の打ち過ぎで、腹が破けて死んでしまったそうです。

「そうじゃったのか……あまりに楽しかったもんじゃから……悪いことをしたのぅ……」

「いえいえ、親分は最期に和尚さまを『人間ながら天晴れ』と褒め称えておりました……命を賭けて張り合えたことを、誇りに思っておりましょう……」

悲しみにくれる和尚は子狸の案内で狸たちを弔問し、親分狸の菩提を懇ろに弔ったということです。

エピローグ

♪負けるな 負けるな 和尚さんに負けるな
来い 来い来い 来い来い来い
みんな出て 来い来い来い……♪

はっちゃけ過ぎてあんな結末になってしまったものの、狸と人間が月の下で楽しいひとときを共にしたエピソードは広く人々に親しまれ、童謡として現代に歌い継がれています。

ちなみに実在の寺は「證誠寺」ですが、童謡のタイトルが「証城寺」となっている理由については諸説あるそうです。

一、作詞家の野口雨情(のぐち うじょう)が単純に「誠」と「城」を見間違えた(証は證の新字体)。

一、最初は実在の寺院名(證誠寺)にしたが、檀家から「和尚を狸と対等に扱うな」等のクレームが来たので変えた。

一、最初からあえて架空の寺院名にすることで、特定の地域にとらわれず広くみんなに愛される歌にしたかった。

結局どれなのかは謎のままですが、三つ目あたりが真相だと(童謡に親しんで欲しいという)子供たちへの愛に満ちていていいですね。

♪しょ しょ 証城寺 証城寺の萩(はぎ)は
つ つ 月夜に花盛り……
己等(おいら)は浮かれて ポンポコポンの ポン……♪

 

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