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大バカのまた大バカだ!散々に罵倒された藤原顕光(宮川一朗太)は本当に無能だったのか?【光る君へ】

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藤原顕光は無能ではなかった?3つの疑問

藤原顕光は、実は無能ではなかったのかも知れない。そんな仮説が立てられています。

(1)道長が権力の頂点にあった時代、20年以上にわたって大臣職を道長一族から守り抜いたこと。

(2)顕光の「失態」とされる行為は、有職故実(作法)の流派によって解釈が違うこと。

(3)顕光の失態は、その多くが道長に関連する儀礼で行われていること。

つまり顕光は(1)権力の座を守り抜く力量があり(2)失態は流派の解釈違いに過ぎず(3)道長に対して含むところがあった(恥をかかせる目的でわざと行った)。という解釈です。

確かに大河ドラマの紹介どおり、政敵たちが次々と倒れたのは幸運であったことでしょう。しかしそれだけなら、道長によって淘汰されてしまったはずです。

例えば藤原実資は、顕光の従兄弟で名臣として知られた藤原斉信(なりのぶ)に対しても同様に批判していることがありました。このことからも、顕光への批判は必ずしも無能を意味しなかった可能性も考えられるでしょう。

終わりに

「今日の作法、前後倒錯、聊か其の事を記す、筆毫刓るべし、ただこれ略記なり。卿相、壁の後に出でて嘲り咲ふ」

※藤原実資『小右記』長和5年1月25日条

【意訳】今日の作法は何だありゃ。前後の順序はまるでデタラメ、さすがにちょっと書き留めておこうとしたら、ツッコミどころが多すぎて筆が削れてしまったではないか。これでも一部に過ぎないのに。その酷さと言ったら、みんな嘲笑が止まらぬほどであった……。

文中の「前後倒錯」が何の順序かは不明ですが、恐らくは何を先に出したの引っ込めたの、そんな事かと思われます。

有職故実の大家であった実資は、自分と異なる流派の者を批判したかっただけなのかも知れませんね。

「みーんなアイツのこと、バカにしてるぞ!俺だけじゃないんだからな!」

我が意のままにならなかった顕光に対して、悔しがっていたのでしょうか。

果たしてNHK大河ドラマ「光る君へ」では、どのように描かれるのか、楽しみにしています。

 

※参考文献:告井幸男『摂関期貴族社会の研究』塙書房、2005年8月

トップ画像出典: NHK大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより

 

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