「どうにかなろう」じゃ日本が滅ぶ!今こそ伝えたい幕末の名臣・小栗上野介の生き様と名言【下】:3ページ目
「お静かに」
斬首される直前、忠順の潔白を主張して騒ぎ立てた村人や家臣たちを、優しくたしなめた言葉です。
自分はこの生涯において、なすべきことはすべてなした。あとは後世の者たちが遺された仕事を評価すればいいだけのこと。
何より、あなたがたがこのように死を惜しんでくれているのが、仕事の正しかった一番の証拠。
「お天道様が見てござる」
そう粛々と死に赴く高潔な佇まいは、明治の世へ生き残った者たちに深く感銘を与え続けたことでしょう。
終わりに
「人事を尽くして、天命を待つ」
……そんな言葉を体現したような忠順の生涯でしたが、その生き方は現代社会に蔓延する冷笑主義やニヒリズムに立ち向かう強さを教えてくれるようです。
「どうにか『なる』なんて馬鹿でもわかる、どうにか『する』のが大人の役目だ」
かつて、そんな心意気で時代を切り拓いてきた先人たちに恥じない生き方を目指していきたいものです。
【完】
※参考文献:
村上泰賢編『小栗忠順のすべて』新人物往来社、平成二十2008年
富田仁ほか『横須賀製鉄所の人びと』有隣堂、昭和五十八1983年
福地源一郎『幕府衰亡論』民友社、昭和元1926年