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「どうする家康」猿に続いて、白兎まで女狐の毒牙に!?第38回放送「唐入り」振り返り:2ページ目
どうか先陣を!秀吉の唐入りを止めるどころか……
劇中では秀吉の唐入りを諌めた我らが神の君。しかし『東照宮御実紀附録』を読むと、少し様子が違ったようです。
……朝鮮に渡りし軍勢永陣思ひくして。戦の様はかばかしからざるよし聞えければ。太閤諸大名をつどへ。かくては合戦いつはつべしとも思はれず。今は秀吉みづから三十万の大軍を率ひて彼国にをし渡り。利家氏郷を左右の大将とし三手に分れて。朝鮮はいふに及ばず大明までも責入。異域の者悉くみな殺しにせん。日本の事は 徳川殿かくておはせば心安しと有ければ。利家氏郷等上意の趣かたじけなきよしいふ。……
※『東照宮御実紀附録』巻七「浅野長政停秀吉之外征」
朝鮮の戦況が思わしくないことを知った秀吉は、諸大名を集めて言いました。
「こんな調子では、いつまで戦が続くか分からん。かくなる上は余が自ら30万の兵を率いて海を渡り、前田利家(宅麻伸)と蒲生氏郷で三手に分かれて戦おう。そして朝鮮ひいては明国まで皆殺しにしてくれるわ!」
それでは、日本が手薄になるのでは……など案ずる者もいたでしょう。でも大丈夫です。
「日本のことについては徳川殿に任せれば心配あるまい。よいな」秀吉の指名を受けて、前田利家と蒲生氏郷の両将は奮い立ったことでしょう。
……其時 君にはかに御けしき損じ。利家氏郷にむかはせられ。それがし弓馬の家に生れ軍陣の間に人となり。年若きよりいまだ一度も不覚の名を取らず。今異城(原文ママ。域か)の戦起りて殿下の御渡海あらむに。某一人諸将の跡に残とゞまつて。いたづらに日本を守り候はんや。微勢なりとも手勢引連殿下の御先奉るべし。……
※『東照宮御実紀附録』巻七「浅野長政停秀吉之外征」
しかし、家康は納得しません。
「太閤殿下は何を仰せか。わしは武家に生まれて若いころから一度も不覚をとったことがない。いま朝鮮や明国を相手に一世一代の大戦をしようと言う時に、一人日本で留守番せよとはあまりにも無慈悲。ここは是非とも、太閤殿下の先陣をお申しつけ下されたい!」
とのこと。戦なき世をつくるどころか、もうやる気満々ですね。
……人々の推薦を仰ぐ所なりと宣へば。関白(原文ママ。太閤か)大にいかり。おほよそ日本国中において。秀吉がいふ所を違背する者やある。さらんには天下の政令も行はるべからずとあれば。 君尋常の事はともかうもあれ。弓箭の道に於ては後代へも残る事なれば。たとひ殿下の仰なりともうけがひ奉ること難しと宣ひはなてば。一座何となくしらけて見えしに。……
※『東照宮御実紀附録』巻七「浅野長政停秀吉之外征」
これを聞いた秀吉は機嫌を損ね、家康に怒鳴りつけます。
「この日本国内でわしが命じたことに逆らう者がおってなるものか!これを見逃しては天下に示しがつかぬ!」
わしの命令が聞けんのか……秀吉の怒りに対して、家康の怒りも負けてはいません。
「それがしとて、平時ならば殿下のお言いつけに逆らうなど致しませぬ。しかし弓矢の道においては子孫の名誉にもかかわること。たとえ殿下のご命令であろうと承ることはできませぬ!」
お留守番なんて絶対に嫌だ!わしも朝鮮に行って活躍したいんじゃー!と言わんばかり。もう老齢に達している両雄のいさかいに、周囲はいささか白けてしまったようです。そんな中、声を上げる者がおりました。
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