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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る 【どうする家康】忠義の裏に秘めた野心…毎熊克哉が演じる大岡弥四郎(大賀弥四郎)の末路【後編】

【どうする家康】忠義の裏に秘めた野心…毎熊克哉が演じる大岡弥四郎(大賀弥四郎)の末路【後編】:3ページ目

家康、改めて反省

……後日に至るまで度々弥四郎が事悔思召よし仰出され。我そのはじめ鷹野に出むとせしに老臣はとゞめけるを。弥四郎ひとり勧めつれば我出立しなり。これ等の事度々に及び。老臣等終に口を杜(とじ)る事となりゆきしならん。近藤が直言にあらずんば我家殆むど危し。畏れても慎むべきは奸佞の徒なり。おほよそ人の上としては人の賢否邪正を識りわけ。言路の塞らざらんをもて。第一の先務とすべしと仰られしとなり。……

※『東照宮御実紀附録』巻三「鋸引」

「それにしても、弥四郎があんな大それたことを企んでおろうとは、わしもつくづく見る目がないのぅ」

今回の一件で、家康は大いに後悔したと言います。

「言われてみれば、そなたらが度々諫めてくれていたのを聞き入れなんだがゆえに、そなたらも口をつぐんでしまった……悪かった」

「いえいえ、滅相もない。此度のことは我らが非にございます。近藤が直言してくれねば、御家が危いところでしたな」

「まったく、人の上に立つ者はよく人を見極めて周りの声をきちんと聞き入れることが大切であると、つくづく思い知らされたわい」

かくして「雨降って地固まる」となった徳川家。しかし勝頼の軍勢は着々と迫っており、それが世に言う「長篠の合戦」につながるのでした。

そのくだりについては、また改めて紹介したいと思います。

終わりに

以上、『徳川実紀』に登場する大賀弥四郎(大岡弥四郎)のエピソードを紹介してきました。

果たしてNHK大河ドラマ「どうする家康」では、毎熊克哉がどのような弥四郎を演じてくれるのでしょうか。

とことんまで嫌なヤツなのか、それとも彼なりの信念や事情を魅せてくれるのか……これからの展開が楽しみですね!

【完】

※参考文献:

  • 『NHK大河ドラマ・ガイド どうする家康 前編』NHK出版、2023年1月
  • 『徳川実紀 第壹編』国立国会図書館デジタルコレクション
 

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