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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る 「どうする家康」本多正信の寝返りでますます泥沼化…第8回放送「三河一揆でどうする!」振り返り

「どうする家康」本多正信の寝返りでますます泥沼化…第8回放送「三河一揆でどうする!」振り返り

次週・第9回放送「守るべきもの」

さて、優秀な軍師・本多正信の寝返りによってますます泥沼化しそうな三河一向一揆。今まで散々いかさま師だの何だのと嘲り倒した報いと言えるでしょう。

劇中ショックを受けていたようですが、よく裏切らないと思いましたね?服部半蔵(演:山田孝之)や女大鼠(演:松本まりか)らに家臣たちを監視させようとする猜疑心があれば、真っ先に疑いそうな人物ですが……。ともあれ、正信は新天地での活躍に期待大です。

かつて今川義元(演:野村萬斎)より受けた「民こそ天下の主であり、武士は民に生かされており、見放されたら死ぬ」という教えをすっかり忘れてこの体たらくです。

子貢問政。
子曰、足食、足兵、民信之矣。
子貢曰、必不得已而去、於斯三者何先。
曰、去兵。
曰、必不得已而去、於斯二者何先。
曰、去食。自古皆有死、民無信不立。

※『論語』顔淵第十二

【意訳】子貢(しこう)が孔子(こうし)に政治の要点を尋ねる。孔子は「民に食糧を与えて、軍備を整えて安全を保障することで、信頼を得る」と答えた。

子貢は重ねて「もし三つを揃えられねば、何から削るべきでしょうか」と問う。孔子は「その場合は、軍備から諦めよう」と答える。

子貢は更に「残った食糧と信頼も両立できねば、どちらを捨てましょうか」と問う。孔子は「食糧を諦める。たとえ餓死しようが、そもそも人間は必ず死ぬものだ。しかし信頼関係がなければ、絶対に社会は成り立たない(民、信なくんば立たず)」と答えた。

……もはや信頼関係もへったくれもない、瀬名の「一つの家が、ばらばらじゃ」そのもの。しかし、現実を受け止めなければ先がありません。

義元の教えを思い出した家康は「守るべきもの」のために決断を迫られます。果たして家康はどうするのか、また空誓上人(演:市川右團次)はどう受け止めるのか。次週の展開に注目です。

※参考文献:

  • 『NHK大河ドラマ・ガイド どうする家康 前編』NHK出版、2023年1月
  • 『徳川実紀 第壹編』国立国会図書館デジタルコレクション
 

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