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清少納言も愛読?幻の平安文学『梅壺の大将』について考察してみた

清少納言も愛読?幻の平安文学『梅壺の大将』について考察してみた

物語は、住吉。宇津保。殿うつり。くにゆづりはにくし。
埋もれ木。月待つ女。梅壷の大将。道心すすむる。松が枝……
清少納言『枕草子』より。

【意訳】
物語と言えば『住吉物語』に『宇津保物語』がお気に入り、(宇津保物語の)中でも「殿移り」のシーン(蔵開-くにびらきの章)はおすすめだけど、「国譲(くにゆずり)」の章はちょっと鼻につく。

他にも『埋もれ木(むもれぎ)』とか『月待つ女』とか『梅壺(むめつぼ)の大将』とか『道心(どうしん)すすむる』とか『松が枝(まつがえ)』とか……。

ご存じ平安文学を代表する随筆『枕草子(まくらのそうし)』において、筆者の清少納言(せい しょうなごん)がお気に入りの物語作品を紹介しているくだりです。

ごくざっくり紹介すると、『住吉物語』は平安版シンデレラ、『宇津保物語』は秘伝の琴をめぐるサクセス・ストーリーですが、『埋もれ木』以降の作品たちは現存していません。

(※)ただし、その作中で詠まれた和歌などが他作品で紹介されていることもあり、わずかながら物語世界を偲ぶことが出来るものもあります。

清少納言が愛読?したほどの作品をキチンと読めないことは非常に残念でなりませんが、タイトルだけを手がかりに、少しでも往時に心を寄せてみるのも一興ではないでしょうか。。

そこで今回は、幻の平安文学『梅壺の大将』について考察した限りを紹介したいと思います。

2ページ目 ゴシップネタ?それともヒーロー物語?

 

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