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大河「べらぼう」に登場!蔦屋重三郎が手がけた吉原遊女たちの錦絵『雛形若菜』(画:礒田湖龍斎)を解説【前編】
大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の第4回「『雛形若菜』の甘い罠」で、主人公の蔦屋重三郎(横浜流星)が、楼閣の親父たちから話を持ちかけられた「錦絵」。
蔦重が手がけた、遊女たちを花に見立てて描いたガイド本『一目千本』が大好評だったので、「吉原への集客率をさらにアップするための次の手段」でした。
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ここで、錦絵と浮世絵ってどう違うの?と思った人もいるのではないでしょうか。
錦絵は、江戸時代に流行した浮世絵の中で「明和年間(1764~1772)以降に広まった多色刷りの精巧な木版画」のことを指します。
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蔦重は、この錦絵というジャンルだけでも、数多くの浮世絵師と組んでたくさんの美人画を世の中に生み出し、「蔦重がいなければ今の浮世絵(錦絵)はなかっただろう」といわれているほどです。
今回は、吉原のプロモーション用に蔦重が企画・制作した『雛形若菜』と、浮世絵師・礒田湖龍斎(お笑い芸人・鉄拳さんが素顔で演じたことでも話題に!)に注目してみました。
呉服屋をスポンサーに花魁に着物を着せた錦絵
蔦重は「吉原遊女たちの錦絵作り」を引き受けたものの、単色刷りの『一目千本』と比較すると錦絵は華やかな多色刷りなのでコスト高になってしまい、資金繰りという壁にぶち当たります。
『一目千本』を制作する際には、遊女たちに「入銀」(本の出版に際し、購入希望者が予約金を納めるシステム)してもらっていました。
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しかし、遊女たちが稼いだお金は楼閣に吸い取られて手元に残る金はわずかなもの。「さらなる負担はかけられない」と蔦重は悩みます。
そこでひらめいたのが、呉服屋をスポンサーにして彼らが売りたい着物を花魁たちに着てもらい、それを錦絵に描く……というアイデアでした。
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