- No.145【賛否両論】大河ドラマ『どうする家康』を振り返り見えてきた3つの「どうする」まとめ
- No.144「どうする家康」最後はみんなで海老すくい…最終回放送「神の君へ」振り返り
- No.143【最終回予習】本当に色々(1616年)あったね…徳川家康の死から「神の君」となるまで【どうする家康】
「どうする家康」織田・徳川の同盟、藤吉郎の尻、氏真のゲスっぷり…第4回放送「清州でどうする!」振り返り
前回、泣く泣く駿府の家臣や妻子を見捨てて織田信長(演:岡田准一)との同盟を選んだ松平元康(演:松本潤)。
少年時代のトラウマが消えず、完全に気圧されて妹のお市(演:北川景子)を娶らされかけますが、駿府に残した瀬名(演:有村架純)の窮状を知って奮起します。
瀬名を傷つけた旧主・今川氏真(演:溝端淳平)を決して許さない。「わが妻と子を、この手で取り戻しまする!」元康は毅然と宣言しました。
NHK大河ドラマ「どうする家康」第4回放送は「清州でどうする!」どうすると言ったって、清州まで来た以上、なすべきは信長の使い走り……もとい盟友として並び立つまでのこと。
「やっかいごとは、白兎殿に押しつけなさるがよろしいかと。そして大切になさいませ。兄上が心から信をおけるお方は、あの方お一人かも知れませぬから」
やがて信長と背中を預け合い、東の強敵(今川、武田、北条など)と戦う日々が幕を開けるのですが……さっそく今回も振り返っていきましょう。
実際には和やかだった(であろう)織田・徳川の同盟
まずは今回放送で言及された時代背景から。
今回は家康が信長と同盟を結び、打倒今川を誓う場面が描かれました。このくだりについて、江戸幕府の公式記録『徳川実紀』では以下の通り記しています。
……君清洲へ渡らせたまへば信長もあつくもてなし。是より両旗をもて天下を切なびけ。信長もし天幸を得て天下を一統せば。 君は旗下に属したまふべし。 君もし大統の功をなしたまはゞ。信長御旗下に参るべしと盟約をなして後。あつく饗応まいらせて帰し奉る。これは永禄四年なり……
※『東照宮御実紀』巻二 永禄四年-同七年「永禄四年元康與信長同盟」
本書によれば「共に力を合わせて天下を切りなびき(征服し)、お互い先に天下をとった方へ従うようにしよう」と盟約したと言います。時に永禄4年(1561年)、これがいわゆる「清州同盟(清須同盟、織徳同盟などとも)」です。
史料に照らし合わせると今回の話はここまで。お市との婚約や過去の思い出、氏真の暴挙もろもろは基本的に一切合切フィクションとなります。
また中国・紫禁城を思わせるだだっ広い清州城や、お市に案内されて清州城下を見渡す場面なども、基本的にはフィクション。現地にそのような山はなかったはずです。
あるいは筆者が不勉強なだけで、信長の時代はそのような山があったのを、後世まったいらに均して現代のようになったのかも知れません。
まるで北京の紫禁城を思わせる壮大な清州城も、近年の研究成果によってそれを裏づける遺構が発見された……という話も聞きませんが、そうなのでしょうか。
他にもお市が当時日本にはいなかったと思われるオウムを飼っていたり、信長が舶来物のテーブルで酒を酌み交わしていたり等々、本作は時代考証より「信長はとにかくスゴい」というムードありきのため、あまり細かいことは気にせず楽しむのがおすすめです。
誰が言ったか岡田准一の扮する信長を「第六天魔王」ならぬ「V6天魔王」と呼んでいましたが、言い得て妙かも知れません(個人的には面白く感じます)。
バックナンバー
- No.145【賛否両論】大河ドラマ『どうする家康』を振り返り見えてきた3つの「どうする」まとめ
- No.144「どうする家康」最後はみんなで海老すくい…最終回放送「神の君へ」振り返り
- No.143【最終回予習】本当に色々(1616年)あったね…徳川家康の死から「神の君」となるまで【どうする家康】
- No.142「どうする家康」共に乱世の夢を見ようぞ!第47回放送「乱世の亡霊」振り返り
- No.141二代将軍・徳川秀忠には息子が二人、どちらが将軍に相応しいか家康が課した試験とは?【どうする家康 外伝】