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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る 「どうする家康」おんな城主お市の最期。茶々に受け継がれる天下取りの野望。第30回放送「新たなる覇者」振り返り

「どうする家康」おんな城主お市の最期。茶々に受け継がれる天下取りの野望。第30回放送「新たなる覇者」振り返り:4ページ目

賤ヶ岳の合戦〜秀吉の言いがかりで清洲会議の合意は破綻

「出てこーい、柴田ー!」

罵声と嘲笑、そして乱発される銃声。これはいったい何のドラマか(あるいは寝落ちして場面が飛んでしまったのか)と驚きましたが、そう言えば戦国時代でした。

羽柴秀吉と柴田勝家の決戦として名高い賤ヶ岳の戦い(天正11・1583年4月)はほぼ丸ごとすっ飛ばして、いきなり本拠の北ノ庄城に追い詰められてしまったのですね。

瓶割り柴田、かかれ柴田に鬼柴田(※)……織田家中でも屈指の猛将として武功を重ねた柴田勝家。

(※)いずれも勝家のあだ名。瓶割り柴田は、味方に決死の覚悟をさせるため、あえて水瓶を割ったという伝承から。かかれ柴田は、彼が号令をかければ誰もが勇み立ち、どの部隊よりも奮戦したから。鬼柴田は文字通りですね。

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そんな勝家が、戦場でどんな大暴れを示したのか、一度くらい魅せて欲しかったと思います(本作の勝家は大抵本陣で信長にくっついているか、遠征中は言及だけだったので……)。

ちょっと話を戻しまして、清洲会議で織田家の新体制が決まったのも束の間、秀吉がいきなり宣言しました。

「やっぱりこの難局を幼児では乗り切れない!織田家の後継者は信雄様をおいて有り得ません!(意訳)」

……何のことはない、要するに「三法師を信雄&信孝が後見する」システムでは、どうしても信雄=秀吉に不都合なのです。

表向きは後見人としての地位を確保していても、信雄の能力不足はいかんともし難かったのでしょう。

(まったく信雄め、アホのくせにプライドばっか高いから、わしの思い通りにならんじゃないか!)

隔靴掻痒(足がかゆいから靴底を搔く≒もどかしい!)とはまさにこの事。信雄ごしに三法師を操るのは難しいから、やっぱり信雄をダイレクトに操ろうと言うのです。

というわけで、邪魔な柴田勝家&織田信孝を始末するため、秀吉はせっせと根回しを始めました。勝つためには、こういう地道な作業が欠かせません(そして秀吉は、こういう努力を惜しまない人でした)。

池田恒興・丹羽長秀・堀秀政は元より、劇中では名前だけ登場した前田利家や佐々成政(さっさ なりまさ)なんかもみんな調略しておきます。

もちろん家康にも相応の「根回し」をしておいたであろうお陰で「信雄の家督継承に対する祝辞」が届きました。

これはつまり秀吉のやり口を認める(少なくとも異議は唱えない)=勝家&信孝らには与しない意思表示と言えます。

もちろん、あくまで「織田家内部のことは存じません(=万が一、信孝らが勝利した場合はそちらに味方します)」という意味も含まれているのでしょうが。

既に政治的に決着がついていた権力闘争。だからそのおまけに過ぎない賤ヶ岳の合戦など放送する必要はない……そう思って割愛されたのかも知れません。

確かに賤ヶ岳の合戦は(勝家&お市の最期も含め)家康と直接の関係はないからそれもありはありでしょう。でも、観たかったです。

若き加藤清正(演:淵上泰史)や福島正則(演:深水元基)、そして石田三成(演:中村七之助)らの槍働きとか。何より総大将として采配を振るい、また槍を振るう「鬼柴田」勝家の勇姿を。

一緒に手柄を立てたのに(涙)豊臣秀吉の側近「賤ケ岳の七本槍」から洩れてしまった名将たち【上】

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死ぬまで秘めた恋心……一番槍を果たしながら「賤ケ岳の七本槍」から洩れてしまった名将・石川一光【下】

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